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欧米を中心としたデジタル印刷市場関連情報を紹介する
HPは、インクジェットデジタル印刷機をベースとしたデジタル印刷ソリューションの開発でRR.donnelley&Sonと連携すると発表した。最初は、請求書、トランスプロモ印刷、ダイレクトメール向けの磁気インク文字認識印刷(MICR)に焦点を当てて開発する。現在、MICRは金融関係で使われるチェックの高速読み取りの大部分を占める印刷方式である。開発の成果は、HPT300 インクジェット・ウエッブプレスのオプションとして提供されることになる。HPT300 は、30インチ幅の高速カラーインクジェット装置で、プリント2009で発表されたものである。
同設備はRR.donnelley&Sonが現在受注している仕事に使われることになるが、両者の取引の詳細は明らかにされていない。しかし、少なくとも、上記の動きによって高速インクジェットがより広く使われるようになるというのが観測筋の見方である。
上記の動きの背景として「Interquest」の予測がある。同社の調査によれば、印刷されるチェックの量は年々減少し、2007年の320億枚から2009年には280億枚になるが、販売促進用のMIRC文書は、ダイレクトメールのひとつの分野として今後成長する分野であるとしている。
HPは、HPT300 インクジェット・ウエッブ・プレスをピツニーボウズのIntelliJet印刷システムの一部として組み込むことで市場を拡大する。ピツニーボウズはメーリング業務に必要な各種システムを提供してきたが、印刷は同社が唯一提供してこなかった部分である。しかし、HPT300 を同社のシステムに組み込むことで、請求書やトランスプロモ印刷物における一連の業務をカバーできることになる。
米国最大の小売流通、郵送、そしてドキュメント・サービスセンターであるUPS Storeは、文書、カタログ、メニュー、チラシのオンライン印刷サービスを同社の姉妹企業であるMail Boxes Eteを通じて、米国、カナダそしてプエリトリコにある4800箇所の店で提供する。小ロット・端物印刷から始めて、市場は次第に大判プリンターによるポスター、バナーに拡大すると見ている。各店舗では、モノクロ印刷、小ロットのカラー印刷、小冊子の製本に加えて、国内、国際向けの印刷物の物流もサービスとして提供する。
FedEx
Office/Kinko'sは既に印刷物が必要なところでオンライン印刷するサービスを実施している。同社は、VistaPrintと提携してDesign &
Print
Centerの運営を始めた。このデジタル印刷のセルフサービス用のツールは、事業主が自分で名刺、レターヘッド、そし販売促進用の印刷物を制作することを可能にする。現在、FedExの1100店舗で利用可能である。
インフォトレンドによると、インターネットを通じて流通する印刷の仕事は、昨年時点で米国の印刷需要の14%を占めているという。
(グラフィック・コミュニケーション・ワールド 2009年9月21日、10月5日号)