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印刷界OUTLOOK2009【折込広告】
全国平均では1世帯に1年間で6692.1枚の折込チラシが届けられる。
電通「2008年日本の広告費」によれば、折込広告の広告費は6156億円で、テレビ、新聞、インターネットに次ぐ第4の広告媒体としての位置付けにある。折込チラシ一つひとつがそれほどの大部数になることは多くないが、全国の金額をまとめるとこのような膨大な額が動いている。
折込チラシの配布網は主として全国に2万以上の新聞販売店から構成されるので、地域特性を加味した配布が可能でさまざまなセグメントができる点に強みがある。近年は地図情報に国勢調査などのデモグラフィックデータを組み合わせて、より的確で効率的な配布エリアを決めるマッピング技術が可能になった。インターネットの普及が進む中でも折込広告の広告費が2006年まで増え続けてきたのは、このようなマーケティング技術の進化による折込チラシの再評価が進み、需要を喚起してきたことが主要因と思われる。
朝日オリコミの出稿統計によると、全国平均では1世帯に1年間で6692.1枚の折込チラシが届けられる。地域別には、多い順に首都圏(7484.0枚)、北関東(7093.9枚)、中部(7086.7枚)と続く。逆に少ないのは東北(4883.8枚)、九州(5790.9枚)、北陸(5884.7枚)の順になっている。
広告主の業種別で最も多いのは「流通」で、全体(6692.1枚)の半数弱(46.9%)を占める。「流通」の中では家電、自動車、ホームセンター・ディスカウントを含む「その他小売」が多く、スーパーと百貨店を含む「総合小売」が続く。「各種サービス」も多く、全体の21.1%を占める。パチンコホールと塾・予備校は集客を折込チラシに頼ることが多いからだ。「各種サービス」に次いで「不動産」、金融を含む「その他」の順である。
経年で見ると、不動産は規制強化と不況で減少傾向にあり、金融も消費者金融への規制強化で減少する傾向にある。一方で流通業は不況のためにかえって増売対策として折込チラシの活用を増やす傾向にあり、自動車のようなチラシ枚数を減らす高額商品などとは好対照なようだ。
2008年には、折込広告業界が合同で初の効果測定調査に取り組み、その成果を『新聞折込広告調査REPORT 2008』にまとめて反響を呼んだ。折込広告プロモーションの新たなイノベーションは始まったばかりである。
(「JAGAT info」2009年10月号)