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伸びる平版用インキと新聞インキ

掲載日: 2009年12月06日

中長期的に見ると平版インキ需要の伸びとグラビアインキの需要安定、新聞インキの増加が特徴的。印刷界OUTLOOK2009【インキ】

2008年のインキ出荷量は前年より微減

経済産業省「平成20年化学工業統計年報」によると、2008年の一般インキ(印刷インキの合計から新聞インキを除いたもの)の販売量は、前年比1.8%減の42万8266トンになった。販売金額は前年比0.8%減少の2975億77百万円で、販売量、販売額ともに2006年より2年連続で減少している。

印刷インキの構成比を見ると、通常のいわゆる印刷に使われる平版インキが36.3%、包装材などに使われることの多いグラビアインキが32.2%で、この2種で販売量全体の7割近くを占める。以下、構成比の高い順に新聞インキ12.9%、その他のインキ10.5%、樹脂凸版インキ4.9%、金属印刷インキ3.2%となる。

10年前の1998年と比較すると、平版インキの販売数量は13万6900トンから17万8466トンへ約30%増え、インキ全体に占める割合も29.1%から36.3%に上昇した。また、新聞インキも5万1805トンから6万3323トンへ20%以上増え、割合も高まっている。

逆に金属印刷インキ、樹脂凸版インキは割合を下げるとともに、販売数量も落ちており、特に金属印刷インキの落ち込みが大きくなっている。グラビアインキは10年前に15万7467トンだったが、2008年も15万8325トンと、10年もの間、安定した需要がある。

なお、全日本印刷工業組合連合会『平成20年度印刷業経営動向実態調査集計結果報告書』によると、回答のあった印刷会社399社では、材料費に占めるインキ代の割合は8.3%(前年8.7%)となっている。

伸びる平版用インキと新聞インキ

ここまで見てきたように、中長期的に見ると平版インキの需要が伸びていること、グラビアインキの需要が安定していること、新聞インキが増えていることが特徴的だ。平版インキと新聞インキは、印刷物のカラー化の進展が主要因と考えられる。オリコミサービス『首都圏新聞折込広告出稿統計年間レポート』によると、3色以上を使った折込チラシの割合は1998年に67.5%だったが、2008年は86.1%まで高まっている。また、グラビアインキについては、包装材などに使われることが多く、景気に左右されにくく安定していると考えられる。白黒写真フィルム(印刷・業務用)の販売量は、8612万m2(前年比9.2%減)となっている。

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(「JAGAT info」2009年11月号)

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