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学校独自の進度に応じた教材開発で学習効果を高める コラボレーションでオンデマンド印刷の実力を発揮─ 学校法人獨協学園/(株)文理

掲載日: 2009年12月11日

中学から高校までの一貫教育を行っている獨協中学・高校では、学習参考書の出版社で知られる文理との協力関係によって、オンデマンド印刷による教材の利点を生かし効果を上げている。

オンデマンド教材採用の背景と効果

獨協中学では、それぞれの教科でオンデマンド教材を採用している。採用に至った背景について、「進学校であるため、国公立大学受験を見据えるとなると論述問題に対応できる学力を備えなくてはなりません。市販の問題集ではそうした対策には不十分でした。」と同校国語科の齋藤先生は語る。

市販の問題集では、あまりにも簡単な問題だけでまとめてあったり、難しい問題が載っていても解説が不足していたりといった具合に、何かしらの欠点があったようだ。ましてや、進学校である以上は、1学年先の問題も学習させなくてはならない。そうした要望に応えられないというのが、オンデマンド教材を採用したきっかけであった。

テキスト・オンデマンド内容見本

テキスト・オンデマンド内容見本:学年・科目・単元別に全講座が収録されている。問題内容を確認し、必要 な講座をコード番号で選択する。

国語の問題集の場合、文法、漢字、論述といった異なる性質の問題が混在しており、さらには、それらの解説も入っている。何もかもが雑多になっているため、重点的に学ばせたい、あるいは説明をもっと詳しくしたいと考える場合には、そこからつまみ食いのようにして、必要な部分を指定して宿題を出すといった具合にしていた。

また、不足を補うためにプリントを加えたりもしていたが、これでは、無駄も多い。オンデマンド教材の採用によって、必要な部分をまとめることができるようになり、こうした無駄の削減にもつながったともいう。

英語については、授業で使う主教材が、文部科学省検定の教科書から検定外教科書の『Progress21』に変わったのがオンデマンド教材採用のきっかけだった。

かつては、中高それぞれに文科省検定の教科書を使っていたが、中学と高校では難易度のギャップが大きく、生徒も苦労していたようだ。そうした難易度のギャップを埋めるために、中学から高校1年までの間は『Progress21』1冊を主教材として継続して使うことにした。

ただ、同教材は、語彙が難しく、文法の履修順序も一般のものと異なり、かなり特殊なものであった。そのため、その他の問題集が併用しにくいという問題があった。「保護者からも、授業と併用できる副教材を(自宅で)生徒に取り組ませたいという要望がありました。そこで、まずは主教材に対応した課題を授業の進行に合わせて配列したオンデマンド教材を夏季、冬季休暇に宿題としたのが採用のきっかけでした」(英語科 志村先生)。

そして、このオンデマンド教材ができたことで、今までの授業の進行も、あちらこちらに飛んだりせずに、学習内容の進度がわかりやすくなり、生徒の理解を助けているという。

各教科によってオンデマンド教材採用のきっかけは様々だが、従来抱えていた課題を解決したことは確かのようだ。また、主たる使い道は、授業の補完として扱われているようで、長期の休み中だけでなく、生徒が日常の家庭学習に取り組みやすいように考えられているのが特徴とも言える。


文理における成長事業

こうしたオンデマンド教材には、文理のテキストが採用されている。文理は1950年6月に神田で創業した。当初は学生の「虎の巻」とも言うべき、教科書の解答が載せてある教科書ガイドを出版していた。1975年ごろに、そうしたガイドを教科書会社自身が発行することになったため、自社で発行できなくなってしまった。そのため別の分野を手がけるようになり、教科書に準拠した問題集や、標準的な学習参考書などを発行することとなった。

そうした意味では、1975年ごろは社内的には大きな転換期であった。そして、1985年に塾を顧客とした塾教材部門を立ち上げ、塾とともに私立学校への販促も行うようになった。その後、2000年にオンデマンド教材事業を立ち上げた。塾では、1年間を通して開講する授業と、夏期講習、冬期講習などの短期講習とがある。短期講習では、1〜2週間程度の期間で、学校の前学期の復習や次学期の予習を行うことがあるが、その場合に指導する範囲が塾によって異なっていると思われる。

「1学期の復習と言っても学校や塾によって進度が異なります。そうした進度の違いによって、必要なページや範囲などを指定したテキストができないかという要求がありました。確かにオンデマンド印刷を使えばその要求をかなえられますが、オンデマンド教材事業を立ち上げた当時は、まだオンデマンド印刷は普及していませんでした。塾や学校の要望に応じた特別なテキストをつくるとなると、通常の印刷ではかなり値段が高くなってしまうため、実現できませんでした。しかし、オンデマンド事業を開始してからは、今や売上の1割を占めるまでに成長しました」(専務取締役 竹田幸男氏)。

オンデマンド教材、他社との差別化

オンデマンドの講座総目録

オンデマンド教材事業を開始するまでは、学校の先生や塾の講師は、既製の教材を我慢して使うか、先生独自にオリジナルの教材を作成するしかなかった。文理では、参考書や問題集といった今までのコンテンツデータの蓄積がある。竹田専務は、このコンテンツを利用して先生方の悩みを解決するビジネスを展開できないかと考えていた。そこで出会ったのが、オンデマンド印刷であった。一連のシステムの開発、オンデマンド印刷・製本は、40年来の付き合いのある東京書籍印刷(株)で行っている。この協力関係が、他社のオンデマンド教材印刷との差別化を生み出している。そのいちばんの違いは、注文から納品までが自動化されていることである。

また、他社と比べてカタログが充実しているのも特徴のひとつである。講座ごとにコード番号をつけてひとつのカタログにして、先生が選びやすくしている。そして選んだコードをファクスかウェブで注文してもらい、それを受け取って作成し届けるという流れになっている。他社では、講座コードを指定するのではなく、既存のページ数で、何ページから何ページまでといった具合に指定するようだ。文理のそうした手間をかけさせない点も、発注者側の役に立っている。オンデマンド教材は、市場が狭いこともあるが、文理のようにコンテンツを持ち、利便性を実現させている例は少ない。

(「プリバリ印」2009年11月号より一部抜粋。全文は「プリバリ印」本誌に掲載しています。)

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