JAGAT Japan Association of Graphic arts Technology


本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

動き始めた国内電子書籍市場

掲載日: 2010年01月22日

電子書籍に関するニュースを最近よく目にする。アメリカではamazonのKindleを筆頭に電子書籍を読むための専用端末が数多く登場している。日本では専用端末は一般的ではないもののケータイ、iPhoneでコミックや新聞などのコンテンツを楽しむ人が年々増えており大きな市場となっている。

情報通信総合研究所の水野氏によると、2009年の電子書籍関連の動向としてKindle 国際版の登場は大きなトピックであったという。日本でKindleが購入できるようになったことで市場が活性化され、ユーザーがコンテンツを手に入れるプラットフォーム整備に繋がっていくと期待されるからである。

その言葉を裏付けるように、今月末には電子出版協会が雑誌記事をネットで有料配信する実証実験を開始し、来月には出版社21社による電子書籍普及を目的とした一般社団法人 日本電子書籍出版社協会(仮称)が設立されるなど、ユーザーにコンテンツを供給するしくみづくりが業界全体で進められている。

新聞・書籍のデジタル化で一歩先ゆく中国

中国では、政府が力を入れておりコンテンツのデジタル化が日本よりも進んでいるという。新聞組版システムなどを手がける方正は、2001年より同社が開発・運用する電子書籍ソリューション「Apabi(アパビ)」システムを開始した。同システムは、コンテンツを独自のapabiフォーマットでデジタル化し、PCやモバイル環境で閲覧できるようにする仕組みで、新聞をはじめ書籍や美術絵画など幅広い分野をカバーしている。 中国国内では自らB2C向けの電子コンテンツ購入サイトを運営するとともに 電子図書館システムとして公共図書館・学校図書館に幅広く採用されている。

同社では、昨年秋より日本国内において新聞のデジタルコンテンツをiPhoneや Android端末向けに配信するサービスを開始しており、今後の日本での展開が注目される。

雑誌業界の活性化を目指す「MAGASTORE」

MAGASTORE
「MAGASTORE」トップページ

電通とヤッパが開発・運営する電子雑誌有料配信サービス「MAGASTORE(マガストア)」は、昨年秋よりスタートし、現在では31社の雑誌を取り扱っている。同アプリはヤッパの画像圧縮技術を採用することで、画像をより軽く、ストレスがない早い操作を実現しているのが特長である。

運営担当の電通 雑誌局 金子氏は、「”ただ売れればいい”、ではなく、業界全体が活性化するような仕組みづくりを目指していきたい。雑誌業界が冷え込むなか、デジタルが紙を食うのではなく、それぞれの媒体特性をうまく引き出して相乗効果を生み出すことできるように電通ならではの取組みをおこなっていきたい」と話している。



電子書籍市場の活性化とともに、さまざまな企業にビジネスチャンスが広がってきている。印刷会社にとっても業界の動向を掴むことで新たな可能性につなげていただきたい。

【C1】 新たなビジネスチャンスを生み出す電子書籍市場  
2010年02月04日(木) 10:00-12:00

 

(C) Japan Association of Graphic Arts Technology