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XMLでは文書の構造とスタイルは分離されており、XML文書を組版するためのスタイルは、XSLで表したスタイルシートで指定する。【クロスメディアエキスパートのための注目キーワード2:XSLTとXSL-FO】
XSL(Extensible Stylesheet Language)はXMLで定義された文書型でスタイルシート言語と呼ばれる。XMLをレイアウトして印刷するための仕様であり、ある文書インスタンスを別の文書型(その多くはHTML)へ変換するためのXSLT(XSL Transformation)、文書要素に対する詳細なスタイルを指定するXSL-FO(XSL Formation Object)、ある文書インスタンス内の特定の文書要素を指定するためのXPathから構成されている。
XMLがSGML(Standard Generalized Markup Language )の後継であるように、XSLもSGML用のスタイルシート言語であるDSSSL(Document Style Semantics and Specification Language)の後継である。DSSSL はSGML で定義された文書型に基づいてマークアップされた文書インスタンスに対する変換とスタイルを指定する高度な機能を備えている。しかし、DSSSL の仕様がISOで策定されたのは1996 年であり、技術トレンドはXML とインターネットに移行していた。
そうした経緯から、XSL の機能はDSSSLの機能の多くを継承している。 XSLT は様々なパーザ(構文を解析して変換するプログラム)が利用できることもあって、HTML 以外の文書型への変換にも広く使われている。 なお、Web コンテンツのフォーマッタはWeb ブラウザーそのものなので、Web コンテンツのスタイル指定にXSL-FOを用いる必要はない。XSL は、DSSSL と同様の関数型のプログラミング言語である。一方、XSL-FO はそれを処理するフォーマッタの種類が少ないせいか、その応用はPDFへの出力に限られているようである。
(『JAGAT info』2012年5月号より)