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ジャパニーズクオリティで、世界へ。 日本で育ってアメリカで火がついたフォトブック!
『プリバリ印』3月号(3月10日号)では‘POD後加工の贅と技’を大特集。巻頭インタビューでは、(株)アスカネット代表取締役(CEO)福田幸雄[ふくだ・ゆきお]氏に直撃。
(株)アスカネットは、アメリカで4万人のプロ写真家が利用している「AsukaBook」をはじめ、高品質のフォトブックサービスを国内外に展開している。
オンデマンド印刷で印画紙並みの色再現要求に応えるという難題をいかに解決し、世界57カ国にユーザーを広げる現在に至ったのか。
今回は、そのインタビューの一部をご紹介したい。
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(フォトブックを)写真館から発注いただく方法は2つあって、ひとつは弊社の画像編集ソフトやPhotoshopなどを使って、写真館側で編集して完全データにしたものを弊社サーバーにアップロードしてもらい、それを印刷製本して提供するサービスです。もうひとつは、写真館が撮ったデータを預かって、選別、編集、レイアウトなどすべて弊社側で行う方法もあります。サービス内容によって値段が異なります。
ゆくゆくは、撮影者がイメージどおりに自分で編集すべきではないかというのが弊社のスタンスなので、DTPに詳しくないカメラマンでも素晴らしい写真集が編集制作できるようなプロ用DTPソフトウェアを、今新しくつくり直しています。このために5~6名のSEスタッフが常に討論を繰り返して、マーケティングの営業の意見も聞いて、何が望まれていて、何がやりたいかという研究から始まって、ほとんどのソフトウェアを自社で企画制作しています。
コンシューマー用の写真集編集ソフト「MyBookEditor」や、ウェブに写真をアップロードして写真集が制作できる「かんたんマイブック」というサービスもあります。業務用の「AsukaBook」では、「Photoshop Plug-in」のほかに、「ホワイトベース」という台紙のようなベースをダウンロードしてもらいます。そのベース上でレイアウトを編集してもらって、アップロードする時にファイルチェッカーというソフトを経由すると、寸法やプロファイルが規定に合っているか事前にチェックできます。そのように、ほとんどウェブで発注が完結する仕組みをつくっています。
マイブックの製品例
〔中略〕
IR活動で投資家から、「アスカネットさんと同じ印刷機を買えばだれでもできるよね」とよく言われますが、それだけはないところがあります。では、何が重要かと言えば、モニター調整なのです。ポリシーとして、1軒1軒写真館を訪問して、蛍光灯の色や外光がどれくらい入っているかといった条件を調査し、それに応じたモニターの調整を行っています。また、弊社は、カメラマンに対して、RGB入稿をお願いしています。正しく調整されたモニターで見たRGBの色から、ずらすことなく印刷することを約束しています。つまり、モニターで見たRGBと同じようにCMYKで印刷できるように変換しているのです。
フォトブックの世界はクオリティについてはピンキリなので、弊社の場合はあくまでも高品質の要求を狙おうとしています。安さを競うだけの価格競争には足を踏み入れたくないのです。
〔中略〕
「AsukaBook」は、実は日本よりもヨーロッパも含めた海外のほうが有名なのです。ヨーロッパにもプロ向けの代理店をつくりました。ウェブ上で弊社のサービスを利用できるのは57カ国にのぼります。ただ、現在は英語だけなので、世界中の様々な言語に対応するソフトをつくり、各国のユーザーが自国語で発注できるようにしようと思っています。
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巷でも良く目にするようになったフォトブック。6ページにわたるインタビューからは、フォトブックの概念・事業を手がけたきっかけからはじまり、今の市場やニーズなど様々なヒントを探ることができる。
特集:‘POD後加工の贅と技’を大特集。
箔押しによるアイキャッチ効果の事例や、ワンストップでデザインから立体物製作までの独自のノウハウを築く企業を紹介。
URL:http://www.jagat.jp/pv