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インターネット環境整備法の施行から一年。コンテンツの自主規制に関する動向を知る。クロスメディア研究会3月拡大ミーティングレポート
インターネットは急速な普及を遂げたが、コンテンツ面で自由に発展していたため青少年にとって有害な表現が満ち溢れるようになったことは否めない。しかし表現の自由との兼ね合いもある。2009年4月に施行された「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」いわゆる「インターネット環境整備法」は、有害情報の判断と青少年保護の対策を民間に委ねた。
フィルタリングソフトの対応状況によっては、例えば学校など教育現場であったり、家庭であったり、青少年が使用するPCに搭載され、そして企業サイトがブロックされる可能性もある。業界によっては青少年が重要なターゲットゾーンになることもあり、対応は緊急を求められる。また、制作側においても対応力が求められるところだろう。
その流れの中で設立された第三者機関としての「I-ROI(アイロイ、インターネットコンテンツ審査監視機構)」の基本的な考えは、企業の自主的な判断と監視、すなわちコンプライアンスである。
審査の流れとしては、I-ROIから認定されたアセッサがセルフレイティングシートに基づきサイトの表現についてチェックを行う。これによりレイティング(全年齢対象であるとか15歳以上対象であるとか)がサイトごとに決まる。この情報を示すバナーを付加し、なおかつコンテンツの内容とバナーに誤り(ずれ)がないかなど、コンテンツの閲覧者から通報する仕組みも設ける。
I-ROIとしては各企業に一人、アセッサがいることが望ましい。各企業は自走式にコンテンツ表現のチェックを行うということである。あくまでコンテンツの監視を第三者が行うのではなく、各企業のアセッサがコンプライアンス体制を組み込むといった具合である。しかし、各ページの表現チェックにおける作業もあり、つまりは全ページにレイティング判断をしたければそれだけ確認作業が必要になる。動画もレイティングの対象であるので、仮に動画が掲載されていたらその全てを見る必要がある。レイティング掲示のバナーはわけて貼り付ける必要があるなど、アセッサを各企業内に置くことも大変だが、アセッサの負荷も相当なものだ。
そのため、アセッサは各企業とも外部に委託できることにもなっている。
そうすると、いわばWebコンサルティングのような立ち位置になって、Web制作のみならずアセッサとして各企業のセルフレイティングを請け負うという方向もあるということである。
現在は、各企業が手探りでアセッサ育成に着手しているような段階であり、アセッサ関連業務の委託を専業としているところはないようである。試みに自社サイトをセルフレイティングしてみるのもいいかもしれない。「インターネット環境整備法」は3年の時限立法であるような表現もあり、各企業の駆け込み需要が発生する前に対応の体制をつくっておくことも必要ではないだろうか。