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特定ソフトウエアに依存しない自動組版システムによって、将来のデータ陳腐化を回避することができる。
■DTPソフトウエアと自動組版
現在、ほとんどのDTPソフトウエアや組版システムは、タグ付きテキストなどをサポートしている。つまり、テキストに組版スタイルを反映させ、専用の形式に加工する。加工されたテキストをDTPソフトウエアに読み込ませることで、自動的に組版済みデータを得ることができる。多くの自動組版処理は、このような手法を利用しておこなわれている。
しかし、DTPソフトウエアには、実際にはかなりの機能差がある。ある組版システムで簡単におこなえる処理が、他のDTPソフトウエアでは難しいということは珍しいことではないし、同じソフトウエアでもバージョンが違えば、機能が変わることもある。例えば、InDesignやQuarkXPressに読み込ませるデータは、そのバージョンのInDesignやQuarkXPressでしか、読み込むことができないという事態となることもある。
このような方法で使われるデータは各ソフトウエア専用データであり、将来的に陳腐化するリスクにさらされてしまうこととなる。
■特定ソフトウエアに依存しない自動組版の可能性
陳腐化を避ける代表的な方法のひとつに、XMLデータを利用することがある。XMLは再利用や再加工がもっとも容易であり、特定のソフトウエアに依存することもない。しかし、ある程度以上の専門知識が必要とされ、誰にでも扱えるものではない。また、組版上の制約も少なくない。
特定のDTPソフトウエアに依存しない汎用スクリプト形式(いわゆる中間フォーマット)があると、陳腐化を避けることができる。各々のソフトウエアに対応するには、汎用形式から各DTPソフトウエア向けのコンバーターを経由して変換する。組版ソフトウエアの変更やバージョン変更も容易となるし、陳腐化も避けられる。
また、この考え方を応用して、HTML形式などWeb対応やデジタルメディアのデータ制作にも対応することが出来るだろう。
DTP制作・印刷、システム開発、インターネット関連を主業務とする株式会社ニューキャストは、これまでにも情報誌出版社向けに、さまざまなDTPソフトウエアに対応した自動組版システムを構築してきた。XMLデータベース・パブリッシングにもトライしてきたと言う。
しかし、将来の陳腐化を避けデータの再利用性を高めるには、このような汎用スクリプト形式が望ましいと考え、開発を進めている。将来的にはオープンソース化して、利用者を拡大していきたいと考えていると言う。
【関連する研究会】
11/17(月)「マニュアル・フリーペーパー制作の自動化」
<電子マニュアル制作とスクリプト自動組版>
(2008年11月)