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デジタルメディアはビジネスと相互に影響しあって成長

掲載日: 2008年11月17日

自前メディアと他人メディアを連動させるクロスメディア。JAGATナビゲーションツアー2008より。

ビジネスのツールという観点で、Webやケータイなどのデジタルメディアの役割は刻々と変化している。しかしメディアだけが発展とか進化することはなく、それを使うビジネスとか、そこで伝えられるコンテンツの発展や進化が伴っていないと意味ある変化ではなく、時代のあだ花として散っていくだけのものだろう。それは過去の多くの「先端技術」が辿った道である。

今のデジタルメディアの強さは、過去の技術論や観念論とは違って、ビジネスそのものと相互に影響しあって成長している点にある。Webの役割は長らくの間ブランディングであったし、また今では商品ごとにドメインを取得するようにプロモーションの仕掛けとしてWebが位置づけられている。従来のマスメディアとかSPメディアなどアナログの販促とは、最初はまず営業マンが売り歩くにしても、それを後方支援するプロモーションをやるという時代があった。

それに対してデジタルメディアでは事業の計画といろいろな販促計画とメディアの計画をITで有機的につなぐERP連動型が起こってくる。印刷でいえばデジタル印刷のOneToOneのためにCRMのデータが使われるようなことが、Webではもっと容易に可能になるので顧客に対するアフターを中心に進んできた。これは販売キャンペーンで薄っぺらな個人情報を取得するのとは比較にならない密な関係作りができるので、マスメディアに対するWebの大きな強みになる。

最初はリアルのビジネスをサポートするWebであったのが、次第にネット上で新たな顧客を見つけてビジネスしようというものが出てくる。ネット上の銀行が店舗を持たないように、Googleを広告会社として見た場合、営業マン無しで広告ビジネスをしている。したがって非常に安い単価の広告いわゆるロングテールの広告が成り立つ。今までリアルの広告なら、例えば3,000円、5,000円という単位ではやりきれなかったようなものが、だんだんネット上の広告として置き換えられてくる。アメリカでインターネット時代になって最初に打撃を受けたのが、新聞の案内広告であった。

ネット上に店舗を開いたりリスティング広告を出すことの敷居はうんと低くなり、多くのサイドビジネスを産み出している。これが次の時代の潮流を作るエネルギーとなる。しかし例えばホームページを見ると、いつ見ても同じ商品の案内があるだけではビジネスは成長しない。ホームページが店舗の店員や営業マンのレベルでどんどん内容更新ができて、マーケッティングテストや実際の仕入れ活動と同時に変わるようなものなら、販売努力が表現されるのでビジネスは成長する。

今日では日本でも通信販売の申し込みはWeb・ケータイが主流になったが、Webやケータイを利用者が開くときによその会社のホームページのリンクが貼ってある場合がある。いわゆるアフィリエイトのことで、どのようにしてクロスセル、アップセルするかというところで工夫する必要があるが、現実にはなかなかそうはなっていない。お客さんの業態は今まで大体決まっていて、BtoB、BtoC、BtoBtoCなどと区別されるが、この境界を守っていてはクロスセル、アップセルは難しい。

グリコのおやつの自動販売機をBtoBで売るようなことは、リアルでは参入が難しいかもしれないが、ネットでは意外に簡単にできる。また、メタボ、メタボと言われて、胴回りを小さくしなければいけないので、何か健康器具を買おうかと思ってネットで探していると、自分の住んでいる駅の近くにフィットネスクラブが見つかり、健康器具購入からフィットネスクラブに通うことになるかもしれない。健康器具とフィットネスクラブは、別の世界にあるが、それはネット上には発見するという機能があるので可能になることだ。

そういうつながりをどう付けるのかはいろいろあり、個人のサイトもあれば、お店同士のアフィリエイトもあれば、別ジャンルのものもあるが、こういうネット上での関連づけが発達してネットのビジネスは伸びようとしている。

2008.11 CM研究会

 


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