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【印刷界OUTLOOK2010】出版
出版科学研究所の調査によると、2009年の書籍・雑誌の推定販売額は5年連続の減少で21年ぶりに2兆円台を割り込んだ。
書籍の推定販売部数は4.5%減の7億1781万冊、推定販売金額は4.4%減の8492億円となった。
ミリオンセラーは合計223万部に達した村上春樹『1Q84(BOOK1・2)』と、114万部の『読めそうで読めない間違いやすい漢字』の2点だけで、2005年以降毎年4~7点あったミリオンセラーが特に少なかった。
書籍の新刊点数は7万8555点と2.9%増えた。出版不況と言われる状況の中、出版社は読者ニーズの多様化にこたえようと出版点数を増やす努力をしている様子がうかがえる。書籍の平均単価は6年連続の低下で1123円であり、2000年より7.0%安くなった。全体に占める新書や文庫、選書などのシェアが上昇したためだ。
返品率は3年連続の悪化で40.6%と、2年連続40%台の高止まりである。市場の縮小が続き、本来は効率化に取り組んで利益確保に向かうべきだが、2009年時点では責任販売制と呼ばれるような効率化への取り組みが結果に表れていないようだ。
2009年の雑誌の推定販売部数は6.9%減少して22億6974万冊になり、推定販売金額は3.9%減の1兆864億円となった。部数の内訳は月刊誌5.9%減の15億1632万冊、週刊誌8.9%減の7億5342万冊になり、雑誌全体の6.9%減と週刊誌の8.9%減は過去最大の落ち込み幅になった。2000年代に入ってから33.3%減少した。
金額の内訳は月刊誌が3.2%減の8445億円、週刊誌が6.1%減の2419億円になった。金額の落ち込み幅が部数の落ち込み幅より小さいのは、平均単価が上昇したことによる。制作コストの上乗せや広告収入の減少が背景にあったようで、月刊誌が2.9%上昇の569円、週刊誌が3.1%上昇の328円になった。価格改定した雑誌が250誌に上っている。
2009年は創刊点数が135点と前年より42点の大幅減になり、1989年の112点に次ぐ低水準になった。一方で休廃刊点数は3点増の189点と過去2番目の高水準になったため、発行銘柄数は3539点と2.0%減少している。付録企画が年間1万2877点に及び、販売促進に一定の効果を挙げた事例が見られたようだ。
(「JAGAT info」2010年3月号)