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ノンリニア編集とは、デジタル化された(動画)映像を編集ソフトで編集する手法で、Webや電子書籍、デジタルサイネージに取り組むためには必須の技術である。
非直線的(non-linear)な編集方法で、これに対して従来のアナログ手法は2台以上のビデオデッキを使用し、テープからテープへ映像をコピーするのでリニア編集と呼ばれている。ノンリニア編集はデータをハードディスクに保存してから編集できるので、リニア編集に比べて編集個所を自由に選択でき、映像データを即座に追加・削除・修正・並べ替えることができる。
ノンリニア編集は現在ではDTPのように単なるアプリケーションになっていて、代表的な製品にはFinal Cut Studio(Pro)とAvidの2つがある。一部のUNIX Work Station以外はWindows NTアプリケーションが前提だったが、Appleがハードまで一貫して設計するようになって、動画分野でがぜん目立ち始めた。高性能分野ではMacが一番安いという現象が起こって、そこにFinal Cut ProというキラーアプリをAppleが発売したために動画=Macという構図ができ上がった。
北米市場はドライなものでMacが安くてメリットがあると思ったら、Windows NTをアッサリ捨ててMacに乗り換えてしまう。従って地方テレビ局などはMacがずらっと並んで番組編集をする姿が一般的になった。それよりお金持ちのテレビ局がAvidなどを使用しているという構図が北米の動画事情という感じだ。
1996年ごろサイテックスは画像処理技術の延長線上でこのノンリニア編集機を始めていたのである。「ワンソースマルチユース」というキャッチフレーズでノンリニア動画までやっていたが、その価格が1000万円くらい掛かった。しかし、現在のFinal Cut Studioは1本10万6000円である。一眼レフカメラの7Dと合わせても50万円でおつりがくる。JRのダイヤ改正直後なので、東京メトロのデジタルサイネージではJR西日本の仲間由紀江主演CFをやっている。このCFこそデジタル一眼撮影&Final Cut Studio編集である。
Rompex という会社は大型ビジョンコンテンツ(赤坂サカスや渋谷109など7カ所)の制作・配信で成功しているのだが、大型だけではなく小規模店舗のデジタルサイネージも担当している。図はある楽器店の仕事なのだが、デジタルサイネージとリンクした印刷物も制作している。撒き餌(まきえ)はサイネージ、しっかりした情報伝達は紙という具合に実践して、普段なら売れない高級楽器を完売しているということである。左図がスポニチ風、右図が週刊誌風らしいが、制作メンバーのほとんどは印刷畑出身者であるし、モバイルマガジンという携帯雑誌は印刷会社資本で運営されている。
図:左がスポニチ風、右が週刊誌風
2009年12月号本欄では、デジタルサイネージとデジタル印刷のコラボレーション手法「1,000部カタログ」を紹介したが、何の打ち合わせもしていないのに、同じような発想に行き着き、実践し、効果も上げている。素直に考えれば行き着くところは同じなのだということだろう。
(「JAGAT info」2010年4月号)