本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
コーポレートカラーや製品カラーなど特色を用いることが多いパッケージ分野では、本機校正や平台校正によるプルーフを必要とするためコスト管理が大きな課題となる。
紙器パッケージの製作は、食品メーカーなどの発注元企業の商品企画に始まり、社内のデザイン担当やデザイン会社、印刷会社(紙器コンバーター)の協同作業によって進められる。
紙器のデザインには構造設計と意匠設計の2つがある。構造設計は、紙器のモックアップ(模型)を専用CADソフトで設計し、実際に使用するのと同様の厚紙を切り抜いて箱に組み立て形状を検討する。通常、意匠のない白紙が用いられるので、モックアップは「白箱」とも呼ばれる。
色に関しては、構造設計と並行して行われる意匠デザインで検討される。紙器パッケージにはコーポレートカラーや製品カラーなど、特色が使われることが多い。このため、一般的な4色(CMYK)ベースのデジタルプルーフは利用できず、また印刷用の高価なデジタルプルーフ専用機(DDCP)でも色再現が難しい。
最近はモックアップ段階で意匠を求められることが多い。そのため、デザイン段階からカラープルーフのためにCTPで印刷版を作成し、オフセット校正の専用印刷機またはオフセット印刷機を使用して、実際の印刷用紙に印刷インキでプルーフを刷り、デザイン見本のモックアップを作成しているのだ。
しかし、紙器パッケージの多品種・小ロット化という流れのなか、この方法では、多様なデザインを試したいデザイナーにとって、プルーフ製作工程における時間とコストが大きな悩みとなる。印刷会社にとっても同様である。これはコストや時間によるものだけではない。
平台校正機を用いる場合、その精度は作業者の技術に依存するところが大きいため、ドットゲインのばらつきを確認することは難しく、プルーフとして安定した正確な再現をすることが難しいという問題がある。このため、今までのようなオフセット方式によるカラープルーフ作成には、抜本的な改善が求められている。
そこで注目されているのが新機能を持ったプリンタである。
例えば、新開発の10色顔料インクによる幅広い色再現域を特徴とするエプソンの大判プリンタ「マックスアート」では、特色インキの色校正をおこなうことができる。これにより、紙器パッケージのデザイン工程を減らすことができるほか、1.5mm厚までの用紙にプリントできるため、インクジェット用のコートボール紙に直接印刷することで、白箱にノリ貼りしてモックアップを作成する手間を省くことができるようになった。
ピクトリコ社製「パッケージプルーフ用ペーパー(0.3mm厚)」を使用してエプソン 「MAXART PX-H10000」で出力したもの
意匠デザインを詰めていく段階では、大判プリンタでデジタルプルーフを作成して発注元に校正してもらう。オフセット印刷機または平台校正機による校正刷りの直前に、ドットゲインのばらつき、トラッピング(色重ね部分)の確認を含めた検版(内校)が行えるため、実際の印刷用紙と印刷インキによる色校正の作成は最終チェックの段階だけで済む。これにより、コストのかかるオフセット方式によるプルーフ作成を最小限で済ますことができるようになった。
(月刊『プリバリ印』2010年9月号より抜粋・一部改変。全文は本誌をご覧ください。)