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6/18に開催されたクロスメディア研究会セミナーは、ネットマーケティングに関する全3回シリーズの第3回目で、EFO、レコメンドなどコンバージョンに絞った分野を学んだ。講師は株式会社エフ・コードの荒井裕希氏と、サイジニア株式会社の吉村真弥氏。
最初はエフ・コードの荒井氏から、EFOに関する講義。エフ・コード社はWebマーケティングを広く扱う。新規事業の仮説検証を得意としており、顧客の「サイトの成功」ではなく、「ビジネスの成功」を考えてインターネット領域で様々なソリューションを提供している。最近の実績では、リクルートの「SUUMO」の会員登録や資料請求、対面カウンターへの来場促進などで成果をあげている。他にもiPhoneアプリを手がけたり、WebサイトのiPhone向け最適化などを行う。
まずEFOとは何かということであるが、Entry Form Optimizationという言葉を訳せば「エントリーフォームの最適化」ということになる。Webサイトには「お問い合わせフォーム」や「資料請求フォーム」、「ユーザ登録」など、様々な入力フォームが存在するが、これらを最適化することを指す。最適化するとは「なぜEFOが必要なのか?」という問いに繋がるが、これはフォーム完了する人を増やすためであると言える。Webサイトの成果を測る際に、様々なKPIを設定するだろうが(アクセスアップなど)、本質では資料請求などのフォーム完了数を伸ばすことがゴールの一つになるはずである。そういった面で、顧客が途中で離脱してしまうフォームがあれば、それを解決しようというのがEFO、フォームの最適ということである。
サイトに集客するまではリスティング広告やSEOなどがあるが、そこからニーズとのマッチングなどのためLPOやレコメンドなどがある。LPOとはランディングページ最適化のことで、検索エンジン経由などで訪問したユーザに最初に見せるページを最適化することでニーズに応えるものである。その後、成約率を高める要素としてEFOがあるというわけである。
なぜかというと、Web担当者にとって注目しがちなのがアクセスアップであり、アクセスアップを最終的な目標と設定してしまうケースがあるからである。本来は突き詰めていけば、アクセスアップではなく、問い合わせ数の獲得向上や会員登録数の向上などが目的になる場合がある。そのサイトの目的やゴールを再度見直して明確にするべきである。
EFOに注目する理由としては、実状としてフォーム完了率が低いサイトが多いことがある。つまり成果をはっきり高めやすいのがフォームであり、フォーム完了率が1%にも満たないサイトが多いと言われている。事例として紹介されたのが、EFO対策前にはフォーム完了率が0.5%であったものが1.2%に改善したというもの。この場合、同じ流入数でありながらコンバージョンは2倍以上であり、CPA(顧客獲得コスト)も半分になる。リスティング広告などにより検索ボリュームを増やすことや、SEOによりサイト流入を増やすことにおいて、これを2倍にするのはかなり大変(コストもかかる)だが、フォーム完了率を2倍にすることは(まだ対策を施していないのであれば)、まだ可能性はある。
実際のフォームの良し悪しの事例や、具体的なアプローチ方法、そして「今日できるEFOの第一歩」と題した、まず取り掛かる指針などもその後解説された。詳細(全文)については後日掲載予定である。
後半は「購買にいたる嗜好性」としてサイジニア社の吉村氏より、レコメンドに関しての講義。
まず人はなんのために買うのか?という題目についての考察。人が何を買うかというと、「購入後のイメージを買う」ということであるとした。つまり未来・将来のイメージを買っているということである。イメージは価値情報とも置き換えられる。これは主に3つのタイプにわかれる。新規性、独自性、嗜好性であり、嗜好性がつまり「似ていること」すなわち「類似性」である。この「類」を知るためのデータ活用には様々なものがあるが、その中でも「レコメンデーション」「行動ターゲティング広告」が今回の範囲となる。
レコメンデーションとは、あらためて書くと「サイト内で嗜好性(類似性)のありそうなコンテンツをおすすめする」ということである。よく「○○に興味があるあなたにおすすめ」といった表現で関連性のありそうなモノをすすめるサービスをよく見かけるだろうが、こういった手法を指して言う。行動ターゲティング広告は、サイト外で嗜好性のありそうなクリエイティブを広告することである。単純な広告と違い、そのユーザの行動履歴などを加味して精度を高めた広告であると言える。
これらの基本的な導入方法(外部サービスを利用するという前提)では、JavaScriptコードをページに埋め込み、レコメンデーションを表示させるというものである。外部サービスでは行動履歴を収集しておすすめコンテンツを生成する。行動履歴、アクセスログなどから潜在的なニーズを発見する。なお、広告を閲覧するユーザの行動(直前に何をしているか)で、検索やECが広告を閲覧する傾向があるという。逆に、SNSやオークションを経て流入するユーザには広告が効きにくいのだという。
この他、フィードバックの重要性や長期的なロイヤルユーザの醸成などについても語られた。詳細は後日全文掲載の予定である。3ヶ月に渡り、ネットマーケティングのなかでも「サイト集客」「コンバージョン」「そのPDCAをまわすためのアクセス解析」について学んだ。クロスメディア研究会限定記事となるが、セミナー全文を順次公開していくのでご覧いただければ幸いである。