JAGAT Japan Association of Graphic arts Technology


本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

製版(プリプレス)のポイント

掲載日: 2008年12月01日

機材インデックス・テクノプロフィールより[その4]

RGBワークフロー

クライアントや広告代理店、それらに直接関係しているカメラマンの間で、話題になっているのが「RGBワークフロー」である。ワンソースマルチユースを目的にした場合、RGBをベースにしたフローはCMYKベースでハンドリングするよりずっとスッキリした工程を組み立てることが出来る。「カラーマネジメントの目的」を印刷ビジネス上考えてみると

1.デジカメ入稿に対して
2.Japan ColorやJMPAカラーターゲット等、印刷標準への対応
3.広色域印刷等の高品質印刷対応

この三つにつきる。RGB入稿=デジカメ入稿ということも出来るが、印刷業にとっては素人にカラーの仕事を取られるか、自分たちの技術を守りきれるかの岐路に立たされている切実な問題でもある。

さてCMYK to RGB変換だが「印刷用に入稿される原稿はRGBデータが主体になり、プリプレス工程でCMYK変換+製版処理することが責任分担になってくるであろう」ことは、印刷人の間では常識化している。「プリプレス工程でもRGBデータでハンドリングする」というのも一つの考え方ではあるが、現時点での現場の実体を考えるに、プリプレスへの入り口でCMYKに変換し、あとは現在と同等のフローで処理するのが現実的と考えられている。念のために付け加えておくが、置き版(画像データのアーカイビング)はあくまでRGBを基本としているのである。

したがって製版機材を語る上でもRGB入力は捨て置けない。しかしカメラマン側で利用されるデータはJPEGやTIFFではなくRAWデータがほとんどである。RAWデータは、無圧縮で画像の劣化がなく、ホワイトバランスや露出など撮影後の調整により好みの画像を作りやすい。豊富な情報量によって高画質になる反面、第三者にとって撮影者が出したかった色が分かりづらく、同じカメラメーカーのバージョン違いでも色が変わるなど、色のバラつき幅が大きい。印刷物を制作する工程においても、どのような色に仕上げれば良いのか判断ができないため、画像データを入稿する際は、必ず現像処理を施したRGB画像等にする必要がある。

そのままRAWで入稿するのは色の責任がカメラマンではなくレタッチャー等の画像クリエイターにある場合であり、最近ではレタッチャーが介在する画像処理の仕事が増えている。こういうケースはRAW入稿が基本となるが、印刷会社がレタッチャーの仕事までするということも十分考えられる。

CMYK変換

CG画像も含めてハンドリングされるのはRGBデータであり、印刷するにはCMYKへの変換が必要である。RGB画像で最適化し、各デバイス用のデータに変換する際に各デバイスに合わせた変換ノウハウが品質を左右することになる。
つまりRGBデータで画像をある程度最適化、確立しておき、印刷やWebサイトなど媒体によって適宜変換するフローも実現されてきた。その方が、画像処理やマルチユースを考慮した流れの上では効率がよい。

このようなRGBを色の基準とする考え方は、今後増えていくと考えられる。RGBの画像処理についてのノウハウや判断は、印刷会社のプリプレス部門に携わる画像処理技術者が優位性を持つが、彼らに不足気味なのが、RGBで画像を扱う経験であろう。

RGB データを最適化して、多目的に運用すれば、品質管理の向上や経費削減になることは間違いない。具体的には、RGB画像にてトーンやカラー補正など、ほとんどの色調整を施すのがRGBの最適化であり、CMYK変換後スミ版など印刷に関する調整や、シャープネス等の最終処理をするのがCMYKの最適化といえる。

また、RGB画像データは通常のCMYK印刷の色再現領域より広い色域を持つため、CMYK変換の際に色域圧縮が行われてしまう。したがって、予想した色味との違いから、これらの知識や理解の高くない顧客からのクレームも少なくない。

RGBデータを印刷に利用する際、課題の1つとされることは、RGB/CMYK変換のとき、RGBデータの品質をいかに損なわず、また品質を補ってCMYKデータにすることである。

「2009 グラフィックアーツ機材インデックス」より一部抜粋

(C) Japan Association of Graphic Arts Technology