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エプソン MAXARTが提案するソリューションを多角的に探る新シリーズの第1回は、デジタルプルーフに新時代を拓いたMAXARTが、CTPとともに進化してきたこれまでの歩みを振り返る。
印刷やデザインの現場は、DTP 化からフルデジタル化への過渡期にあるが、そうした流れのなか、印刷業界は(1)多品種・小ロットに対応した高速化+コストダウン+効率化を実現する「高い生産効率」、(2)高品質とオリジナル性を追求する高付加価値印刷や表面加工など「差別化への対応」、(3)生産プロセスから資材選定・リサイクルに至る「環境対応」という3 つの課題を抱えている。
エプソンでは現在、最も得意とするインクジェット技術と培われてきたノウハウを活かし、印刷業界が直面する上記の3 つの課題解決に向け力を入れている。今後、高精度かつハイスピードなデジタルプルーフの作成は、印刷物の製造コスト削減に一層の貢献を果たすことになるだろう。
エプソンは、1997 年頃から始まったオフセット印刷のCTP(Computer ToPlate)時代に合わせて高画質なデジタルプルーフを開発、印刷のデジタル化の発展に貢献してきた。
革新的な技術であるCTP によりオフセット印刷の品質安定性は飛躍的に高まった一方で、一般的であった手作業による校正刷りの不安定性が表面化し、低コストで安定した品質のデジタルプルーフへのニーズが急速に高まっていた。
そして1998 年に登場したマックスアートの第1 世代である6 色染料インクのPM シリーズは革新的なデジタル・インクジェット・プルーフとしてオフセット印刷や写真、ファインアートなどのプロフェッショナル分野からいち早く認められるきっかけとなった。
現在、デジタルプルーフの7 割近くがエプソン製(同社調べ)という事実が、まさに「デジタルプルーフならエプソン」という評価を裏付けている。
商業印刷・出版印刷から始まったマックスアートによるデジタルプルーフの利用分野は、高精細印刷、高付加価値な印刷分野をカバーするとともに、特色インキが多用されるパッケージ印刷にも広がってきた。
2006 年の第4 世代のマックスアート PX/K3インク(VM:ビビッドマゼンタ)から2008 年の第5 世代顔料インク(オレンジ・グリーンインク搭載、10 色)への開発では、さらなる色域の拡大が追求され、マックスアートはデジタルプルーフの可能性を商業・出版印刷からパッケージ印刷に広げるとともに、「色はエプソン」という確固たる信頼を得てきた。
2010 年4 月に東京ビッグサイトで開催された「Convertech JAPAN 2010」で好評を博したのが、同社が大判インクジェットプリンターとしては世界初となる水性ホワイトインクを搭載したマックスアートPX-W8000 である。パッケージ印刷で使われる特色を再現する広い色再現領域を持ち、グラビア印刷をはじめとする軟包装のパッケージプルーフを実現している。水性インクを採用しているため、臭いが極めて少なく乾燥用ヒーターなども不要で、デザインの現場でも手軽にフィルム素材のプルーフ作成が可能になった。
インク開発から手がけるエプソンだからこそ、紙素材からフィルム素材へ、商業印刷から軟包装・フィルムへと、作業環境にも配慮しつつグラフィックアーツ領域において、その実力をさらに大きく発揮している。