JAGAT Japan Association of Graphic arts Technology


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今時の検定試験の有り様?

掲載日: 2010年08月18日

JAGATでも資格(検定)事業を行っているが、今の検定取り巻く環境や課題はいかなるものか?文部科学省の検定試験の評価の在り方に関する有識者会議の抜粋を紹介してみる。


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「検定試験の評価ガイドライン(試案)」より抜粋
Ⅰ.検定試験を取り巻く現状や課題
○ 我が国においては、現在、細かいものまで含めると、全国に数千程度の種類の検定試験があると言われており、その実施主体や目的、内容、規模等は非常に多様である。
○ このような検定試験が、いわば乱立している状況下において、その実態を包括的に把握することは困難であるが、これまでの本有識者会議で行ったヒアリングの際に示された内容を参考にすると、以下のような現状や課題にあることが伺える。

(検定試験の主な現状)
1.検定試験の実施主体に関すること
・国家試験(公的試験)の数を上回る多くの民間試験が活用されている。
(全国に1000種類程度(詳細にみると5000種類以上)の検定試験があり、年間に200種類程度増える一方、同時に50種類程度消滅しているとも言われる。)
・検定試験の実施主体は、公益法人(財団法人や社団法人)、NPO法人、株式会社、地方自治体等、多岐にわたるが、公益法人やNPO法人が多い。(法人格のないものもある。)
・検定試験を実施する参入障壁は比較的低いが、早期撤退する事業者も少なくない。
2.検定試験の内容に関すること
・検定試験は、能力を測る物差しとして様々な分野で活用されている。
(実技試験等を課すものもあり、受検者層も多様化している。)
・内容的には、語学、簿記、IT、医療事務等の領域において検定試験の競合が見られる。
3.検定試験の実施手続きに関すること
・受検料は、数百円から数万円程度で設定されている。(インターネットでは無料実施のものもある。)
・年間志願者数は、不明の検定試験も多いが、最大270万人から数人単位まで多岐にわたり、数百人から数千人程度の規模の検定試験が多いものと推測される。
(現在、年間志願者数が100万人を超える検定試験は3つのみである。(日本漢字能力検定(漢検)、実用英語技能検定(英検)、TOEIC))

(検定試験の主な課題)
1.検定試験の実施主体に関すること
・近年、検定試験についても消費者センター等に苦情がくることもあり、新たな資格商法につながる恐れもある。【全般】
・組織や財務の状況など、検定試験の実施主体がどのような団体であるか不明確な場合がある。【組織・財務、情報公開】
2.検定試験の内容に関すること
・何を試す検定試験なのかコンセプトが明確でないものがある。【目的】
・同種類の検定試験との関係が不明確な試験や、先行実施の検定試験を模倣・類似した試験がある。【目的、内容】
・作問の妥当性や採点の正確性等が懸念されるなど、検定試験の目的や内容と試験問題が体系的でなく、学習成果を試すような出題となっていない検定試験がある。【手段】
3.検定試験の実施手続きに関すること
・合格率が0%や100%に近い試験や、受検者の本人確認が行われていない試験がある。【審査・採点の基準、試験の実施体制】
・受検資格として特定の講座の受講を課したり、合格後に「登録料」や「合格証発行料」をとる試験がある。【受検料等】
・継続して実施していない試験や受検機会の均等が図られていない試験(大都市中心)がある。【試験の実施場所・回数】
・天災等で試験が実施できなかった場合など、リスク対応が適切でない試験がある。【危機管理】
・受検者数や合格率などの情報が公開されておらず、受検者に配慮がなされていない試験がある。【関連情報の一般公開】
・受検者個人の情報保護が徹底されていない試験がある。【個人情報の保護】
4.その他
・受検結果を評価する者(企業・学校等)が、各種の検定試験の違いやレベルを認識できていないことが多く、受検者個人が、受検後に検定結果(獲得した知識や技術)を社会の中で活用できなかったり、適切に判断してもらえない場合がある。【検定結果の活用促進(学校・企業等へのPR)】


Ⅱ.検定試験の意義や評価の必要性
(検定試験の意義)
○ 検定試験とは、「はじめに」において述べた「用語の整理」に基づくと、「学習の結果、身についた知識や技術の習得度を一定の基準に照らして測定するもの」と概念整理することができ、以下のような特徴を有するものと考えられる。
・学歴・性別による差別なく、自己の知識や技術の習得状況を示す客観的手法である。
・受検資格がないものも多く、一般教養や自己の専門でない分野に関する知識や技術を試せる。
・級別に実施する試験も多く、学習の初期段階からの挑戦が可能である。
○ このような特徴を持つ検定試験については、利用者ごとにみると、
・中・高校生や大学・専門学校生等にとっては、学校や学校外での学習の到達目標、進学・就職に際しての要件、学習の動機付け等
・社会人にとっては、昇進・転職等に際しての要件やスキルアップのための学習成果の測定等として学習成果の積極的な活用を視野に入れて利用されており、子どもから高齢者に至る国民一般にとっては、趣味・教養的な観点から、多種多様な学習の成果を測る指標として利用されている。
○ このように検定試験は、チャレンジ精神の涵養、自己の学習到達度の確認、継続的な学習意欲の喚起、教養の涵養など、受検者の年齢・経歴や受検目的により様々な意義を有しており、学習成果を適切に生かすことのできる生涯学習社会の実現に向けて、検定試験の果たしている役割は非常に大きなものがあると考えられる。

(検定試験の質を確保する必要性)
○ 生涯学習の成果に関する国民の意識をみると、平成20年5月に実施された「生涯学習に関する世論調査」(内閣府政府広報室実施)の結果では、生涯学習を通じて身につけた知識・技能や経験の社会的な価値付け(評価)について、3人に2人(前回調査(3年前)より約8ポイント増)が肯定的な回答をするなど、学習成果の評価に対する国民の意識の高まりも見受けられる。
○ このような国民の意識がある中、検定試験は、広く国民一般の様々な学習成果を測定する指標として機能しており、受検者にとっては、進学・就職など、学業・職業生活に関する場面において、何らかの付加価値となることを期待して受検する場合も多いものと推測される。
○ また、高齢化が進展する我が国において、国民一人一人が、自己の人格を磨き豊かな人生を送ることができる生涯学習社会の実現に向けては、社会人や高齢者といった層に対応していくことも重要であり、そうした層の学習意欲を喚起していく上でも、検定試験の質を高めることは有意義である。
○ さらに、検定試験を評価し、その質を確保することは、企業等における人材育成にも影響を及ぼしたり、民間事業者が提供する多様な教育サービスの質向上に資するなど、社会の様々な場面において効果をもたらすものと考えられる。
○ 一方、近年、検定試験に関連して消費者センター等に苦情がくることもあり、新たな資格商法につながることへの懸念を払拭し、検定試験の質を確保することは、消費者保護の観点からも重要な意義を持つものである。
○ 以上のように、検定試験の質の維持向上を図り、信頼性を高めることは、消費者保護の観点もさることながら、広く国民一般の学習意欲の向上や学習成果の社会での活用促進、さらには、社会全体の利益にも資するものと考えられる。


詳細については、「検定試験の評価ガイドライン(試案)」
文部科学省HP http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/017/index.htm を参照。


■世間では、検定ビジネスなる言葉もあるように検定そのものが一つの仕事として成り立っている。前述の通り既に5000種類以上の検定が存在し年間に200種類程度が増加する一方で、同時に50種類程度が消滅して現状である。あの漢検をはじめにTOEICなどのメジャーなものからわれわれが全く周知しないような検定まで存在しており、その意義、目的、規模など千差万別である。
このガイドラインの中でJAGATとしてよりよい検定として有るべき形、姿勢として大いに参考すべき点があった。教育機関として人材育成、その機会提供を念頭におき、信頼される資格を改めて提供、運営していかなければならないことを強く感じた次第である。

(資格制度事務局)
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