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かつては Paid Mediaのみだった構造が変化し、どのような戦略をもってPRしていくかが重要な時代に既に突入している。
コンテンツ・印刷業界における「クロスメディア」という言葉の意味するところは、Wikipediaによれば「一つのコンテンツ・データを多用途として、複数メディアへ出力する手法をさす。メディアの特性に合わせて、色空間、文字量、(動画など)扱うデータ種別を変える必要がある」ということである。これに対して、広告・マーケティング業界における「クロスメディア」は、メディアの相乗効果を狙うことを指し、それぞれが補完しあうメディアミックスとは異なる。メディアミックスの指標として、消費者にどれだけ情報を届けられたかということを重要視するのに対して、クロスメディアは消費者の気持ちの変化や実際の行動を促すシナリオ作りになる。
この点については、「ワンソースマルチユース」「メディアミックス」「クロスメディア」など、似たような印象を与える言葉がいくつも存在するが、最終的には対象顧客にアクションを起こさせることが目標なのであり、これからのクロスメディアは「コンテンツとスクリーンのアンビエント化」という状況を指すことになる。デバイスが多様化し、様々なチャネルから情報が入り込んでくるという環境(アンビエント)にて、顧客がサービスを利用しやすい環境をつくる=ストーリーを持たせるということになる。このあたりはクラウドやユビキタスにも関連する。
他にも盛んに取り上げられるキーワードが「トリプルメディア」「トリプルスクリーン」であろう。重要なことはEarned Mediaに分類されるソーシャルメディアは、マーケティングの考え方でいけば広報的機能を備えたものであり、AIDMAがAISASになったように消費者を動かす力になり得る部分である。特性としても、消費者との対話が可能であり、評判という資産を生み出すものである。Owned Mediaにしても、規模が大きくなれば企業サイトであっても、数百万人が月間でアクセスすることの重みを捉える必要がある。かつては Paid Mediaのみだった構造が変化し、どのような戦略をもってPRしていくかが重要な時代に既に突入している。
Webサイトへの集客と成約を解析する重要な要素としてアクセス解析などの分析ツールを活用できなくてはならない。そもそもアクセス解析とは「計数的評価軸を持ち」「仮説検証、分析により」「サイトの改善活動を行い」「企業に利益をもたらす」「一つの手がかり」である。成果はどのような評価軸を定めているか、そして評価が数値化されているか、それができていてこそ、分析対象が生まれて仮説を定められる。アクセス解析も、導入したからといって何もかもがわかるわけではなく、仮説検証のサイクルにのせられるツールと捉えなければならない。ネットの出現により、ユーザーの行動データが簡単に取れるようになった。自分たちができることが増えたわけである。Webビジネスの成功のためには様々な仮説検証が必要となるが、アンケートデータや広告測定データやインターネット視聴率データなどと一緒に、中心的な位置づけになるのがアクセス解析なのである。
アクセス解析はサイトビジネスの改善の一手法ではあるが、全てではない。PDCAのサイクルにいきなりアクセス解析ツールがあって、ツールありきで仮説検証を始めること自体が間違いである。サイトの目標があって、そのための評価指数項目が決まり、そこでその評価指数を分析できるツールが選定される。
(Jagat infoより)