JAGAT Japan Association of Graphic arts Technology


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データをして語らしむ 統計資料満載で『印刷白書2010』発刊!

掲載日: 2010年09月23日

『印刷白書2010』が出ました。毎年6月に発刊していたことから「まだですか?」という問い合わせが6月以降に何件も寄せられて、「今作ってます。期待してくださいよ」と心の中で答えて、編集作業に没頭していました。そして、待っていてくれる読者に感謝する気持ちに支えられて、この9月3日に無事発刊となりました。
JAGAT会員企業の経営者の方には例年どおり1冊無償配布させていただきました。少しずつ読者の声が聞えてきていますが、「従来にない斬新な内容ですので、社員全員に回覧したい」という言葉に小躍りし、「価格が下がったので内容がコンパクトになるかと思っていたが、むしろ以前より数表など増えて充実している」「白書というイメージとは相当異なるデザイン性の強い表紙が印象的」「盛り付けの見事さに感心しました」などの言葉に、我が意を得たりと膝を叩いています。

そうなんです。今年の白書は今までの白書とは一味違うんです。パラパラとめくっていただくだけで、まず図表がかなり増えたことは分かっていただけると思いますが、もちろん量ではなく質が違っているんです。印刷白書は2006年版から現在の形にリニューアルしていますが、それ以前のバインダー形式のものは「印刷産業の動向把握に必要な公表データを、できるだけ時系列的に遡って網羅・掲載している」ことを特徴として、Excelで作成した図表が半分以上を占めていました。2006年版から並製本の書籍になって、図表から記事に比重が移りました。しかし、白書という性格から印刷産業に関連するデータを少しでも多く掲載し、データをして語らせることができないかと考えました。
そこで今回の白書では、従来取り上げていなかった産業構造に関するデータなどを追加し、経営比率に関する調査比較などを行いました。また、印刷産業にとどまらず、電子書籍やM&A、新聞業界に関する最新データも掲載することができました。図表にまとめてみると初めて明らかになることも多く、例えば印刷産業出荷額と百貨店売上高の推移をグラフにすると極めて近い曲線を描いてることが分かりました。
JAGATが継続的に行っている調査には、印刷産業経営力調査、印刷業毎月観測アンケート、新入社員意識調査などがあります。そこに、官公庁や関連団体の統計調査から必要なデータを抽出したり、時系列に比較することで有用なデータを提供できると考えています。そこで、巻末には主要統計の概要を一覧表として掲載しました。
今回の形が完成形ではありませんが、図版点数は126点と2009年版の78点に比べて飛躍的に増加し、オリジナルの図版も増加していますので、ぜひご覧いただきたいと思います。

もちろん図版点数の増加は大きな変化ですが、それ以上に大きな変化は記事内容の充実です。「第1章 特集」の「世紀の分水嶺~新しい社会の仕組み」は2010年6月に実施した「JAGAT大会」の講演内容をベースにしていますが、公益資本主義という大きなテーマを考える一助となるように特別講演は論文形式にまとめ、マーケティング分科会はモデレーターに書き下ろしを依頼し、クロスメディア分科会は臨場感を重視して対談形式にまとめ、さらに用語集を追加しました。読み物として面白いだけでなく刺激的なものになるように努めました。読者の皆様にどのような評価がいただけるか期待しています。
また、「第2章 印刷産業の動向」に掲載した「産業構造から見た印刷産業の特質と可能性」「『2008年簡易産業連関表』で見る印刷需要」は今回初めての試みで、どこまでお役に立てるものになったのか心許ないのですが、少しでも多くの方に読んでいただき、ご意見をいただき次回につなげたいと考えております。

『印刷白書2010』の詳細はこちらをご覧ください。

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