JAGAT Japan Association of Graphic arts Technology


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現状打開につながる人材マネジメントの強化

掲載日: 2010年10月18日

優秀な人材を育てるためには、育成する側の成長もまた必要である。加速する状況変化に応じたマネジメント力をどう強化すべきか。リーダーや管理職の意識変革が求められている。

組織強化の支柱が人材育成にあるのは明らかだが、企業のポテンシャルを高め、課題解決をはかるためには、個々のスキルアップを目指すだけでは十分とはいえない。習得した専門知識やスキルが組織の中で活かされるためには、コミュニケーションを通した共有意識の維持や、実行する人間のモチベーションの拡充が不可欠である。組織のメンバーの能力を把握し、彼らの資質を引き出しながら、戦略に即して人を動かす管理者の力量が問われる。

どの企業も組織的な問題やマネジメントを行う上でのさまざまな課題を抱えている。
若手リーダーや中間管理職の養成を目指してJAGATで年2回実施されている「リーダー&マネージャー養成合宿」では、参加企業の経営者や受講者を対象に事前アンケートを行っている。寄せられた意見からも現状の課題が浮かびあがってくる。

【現状の課題】

   ・各セクションの部門責任者が連携しながら業務を遂行する体制が不十分

    ・個人の能力や判断に負いすぎていて、問題の発生や状況の変化に対応しきれていない。 

   ・他部署の業務内容に理解が乏しく、情報の共有ができていない。 

  ・個人の目標設定や役割分担が曖昧なまま業務が進行し、期待した結果が得られない。

  ・ 組織的に仕事を処理することに不慣れで、作業報告もなく予定通りに仕事が進行しない。

  ・仕事を抱え込み、実務中心となってしまっている管理職が多い。



これらの問題に共通するのは、いずれもリーダーシップやマネジメント力の不在、対顧客だけでなく社内のコミュニケーションの不足であろう。若手リーダーや中間管理職たちが、役割を的確に把握し、全体を見通す視点を持ち、能動的に組織やプロジェクトを動かすキーマンへと成長することが人材育成の要であり、問題解決の糸口にもなる。

「リーダー&マネージャー養成合宿」では、参加者が少人数によるプロジェクトチームに分かれ、「対クライアントへの提案課題」や「営業の活性化など社内業務改善」など各印刷会社共通の課題に取り組む。リーダー、マネージャーそれぞれの役割を分担し、グループワーキングを通してマネジメント力やリーダーシップを向上させるスキルの習得を目指す内容となっている。

セミナー受講後は、毎回参加者からさまざまな感想が届いている。以下はその一部であるが、実践的なプログラムを体験することによって、課題解決や能力向上に向けて意識の変化を感じている様子がうかがえる。


【受講して気づいたこと、変化したこと】

  ・グループ討議を通して、案件に取り組む際のさまざまな方法を習得できた。共有意識の一致、
問題点や原因の追求、課題の本質の見極めなどをいかに引き出していくか、またそのための
時間の使い方、人の役割、ルールの大切さなども学んだ。

    ・マネジメントとは自分のやり方をメンバーに実践させるのではなく、目的に向かって各人に
考えさせ、実行させる。そのために環境を整え、先導していくことだと気がついた。

    ・コミュニケーションの難しさを知った。自分の発言に対して理解してもらえたと思っていたことが
思い込みであったり、意思の疎通を他人のせいにしていた。日常の中でうまくいかない事の
原因はまず自分にあるのではないかと考えるきっかけになった。 

   ・ 視野が自分の部署に限定されており、企画立案等の発想の中にクライアントや営業といった
見方が欠落していたことを痛感した。グループ討議を通して、リーダーとしての自分のスタンス
を見直すことができた。

   ・リーダーシップについて、部下に自分の知識を与えることによって信頼を得るものだと思ってい
たが、実際は自ら率先して行動することであることを理解した。
 


 

■関連情報
営業・企画・製作部門のリーダー&マネージャー養成合宿
演習形式によって、問題点の洗い出しから解決策の提案まで、課題解決に必要なスキルを集中トレーニング。

 

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