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第34期DTPエキスパート認証試験 課題講評

掲載日: 2010年10月22日

筆記試験と実技課題を合わせた最終合格者は389名(合格率48.5%)

【概要】

 第34期の課題合格率は提出者ベースで例年並みの86.5%だった。種別はA課題が15%、B課題が85%を占め、合否の詳細は総受験者802人、合格571人、不合格59人、条件違反22人、不提出142人、不正8人であった。条件違反の主な内容には、データフォーマットがネイティブデータであったり、作品サイズ違い、色数違いなどが挙げられる。不提出者は全体の17.7%と例年並みである。作品と制作指示書両方もしくは片方の不提出、あるいは制作指示書が2つといったケースも見られた。筆記試験の結果を不合格と自身で想定して不提出に至った人もいると思われるが、142人の中には筆記合格者14人が含まれている。筆記試験であきらめずぜひ課題も提出してもらいたい。今期も残念ながら不正とみなされる提出物があった。作品では過去の図版・ロゴの使用、制作手順書では過去の目次項目など、明らかな過去データ使用と判断されるものであった。ただし他人のコピーと判断されるものがなかったのは幸いである。

 作品と制作指示書のアップロードについても個々のPCやブラウザ環境によっては、警告メッセージが発せられる場合もあったが、特に大きな問題もなく行なわれた。

 【作品】

 作品レベルは概ね合格基準にほぼ達しており、実力は向上している。しかし、制作環境やアプリケーションの充実に寄与される部分も大きいと思われる。厳しく評価するのであれば、差し障り無い作業をこなしている感があり、それらを反映して印刷物として全くレベルに達していないものや目を見張るユニークな作品は見受けられなくなり、レイアウト方法や組版などにより実力の差が現れるものは少なくなった。

 詳細には、アイキャッチ上に色々な要素を載せている作品が多く、必要なコンテンツを載せるための対応の一つと思われるが、あまりにアイキャッチのイメージが損なわれるものについては減点の対象になるものもあった。原稿増減に対応する意識は大分浸透してきたが、増加の場合を想定した余白を設けていたり、級数が異常に小さかったり、安易な対応をしているものも見受けられた。PDF/X-1aに関しても、提出者の9%は全く準拠しておらず、準拠はしつつも線幅、オーバープリント塗り・線、画像解像度において不適切な設定があったものも10%程度見受けられた。PDF/X-1aに準拠していても容量が100MBを越す作品も数点あった。PDF/X-1a準拠に関しては減点対象となっているが今後は更に採点を厳しくしていくことも検討している。A課題では、2色指定にも関わらず合成画像がCMYKのままである作品が多くあった。

【制作指示書】

 制作指示書自体がテンプレート、もしくは統一された書式を用いて作成されているものがほとんどであった。テンプレートもフォーマット使用(配布)と記述して内容詳細を書かれていなかったり、さらに文字サイズ・行送り・長体までを自由裁量としているものも多く見受けられた。レイアウト設計図に関しても個々のパーツとの整合性がとれていないものや、パーツ寸法・配置指定が不十分なものが目立った。その中には再現不能と判断せざるをえないものもあった。PDF/x-1aに準拠はしているものの、文字は埋め込まずにアウトライン化した作品についてその理由を記述している指示は皆無であった。

 従来より課題制作に関して特に指示ない項目にはどのように対応したら良いのかといった質問が多く寄せられている。今回課題制作の手引きの「出題の趣旨」の中に新たに以下の文書を追記した。「『制作指示書』と『作品』の制作上で不明な点や判断に迷う事は、受験者自身で考え第三者が制作する上で困らないよう指示する事が必要です。これもDTP エキスパートとして求められる資質です」。このコメントの意図を十分理解した上で制作指示書の作成に取り組んでいただきたい。

(資格制度事務局)

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