本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
印刷界OUTLOOK2010 【インキ】
経済産業省「平成21年化学工業統計年報」によると、2009年の一般インキ(印刷インキの合計から新聞インキを除いたもの)の販売量は、前年比10.4%減の38万3718トン。販売金額は前年比10.3%減の2668億7400万円で、販売量、販売額ともに2006年より3年連続で減少している。2009年は不況の影響でとりわけその減少が目立った。
印刷インキの構成比を見ると、通常の印刷に使われる平版インキが35.0%、包装材などに使われることの多いグラビアインキが33.8%で、この2種類で販売量全体の7割近くを占める。以下構成比の高い順に新聞インキ12.3%、その他のインキ10.4%、樹脂凸版インキ5.2%、金属印刷インキ3.3%となる。
10年前の2000年と比較すると、平版インキの販売数量は15万8115トンから15万3054トンへ3.2%減少したが、インキ全体に占める割合は32.2%から35.0%に上昇した。また、新聞インキも5万5033トンから5万3744トンと2.3%減少し、割合は11.2%から12.3%と高まった。
金属印刷インキ、樹脂凸版インキは割合を下げるとともに、販売数量も落ちている。グラビアインキは比較的安定した需要が続いていたが、2000年に16万53トンだったのが、2009年は14万7737トンと、7.7%減少した。
なお、全日本印刷工業組合連合会『平成21年度印刷業経営動向実態調査集計結果報告書』によると、回答企業424社では、印刷会社の材料費に占めるインキ代の割合は8.1%(前年度は8.3%)となっている。
安定して伸びる平版用インキと新聞インキ
ここまで見てきたように、中長期的に見ると平版インキの需要が伸びていること、グラビアインキの需要が比較的安定していること、新聞インキが増えていることが特徴的だ。平版インキと新聞インキは、印刷物のカラー化の進展が主要因と考えられる。オリコミサービス『首都圏新聞折込広告出稿統計年間レポート』によると、3色以上を使った折込チラシの割合は2000年に72.8%だったが、2009年は86.8%まで高まっている。また、グラビアインキについては、包装材などに使われることが多く、景気に左右されにくく安定していると考えられる。印刷・業務用フィルムの販売量は、6899万m2(前年比19.9%減)となっている。