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オフセットvsデジタル印刷 の戦いは始まったのか?

掲載日: 2008年12月21日

印刷機並みのデジタル印刷にとって競合となるのは、オフィスの複合機に毛が生えたようなカラーコピー・カラープリンタなのではないだろうか?

drupaの性格上、印刷の展示会といっても紙工紙製品などと一緒であるので、従来からあまり簡易な印刷機はでていなかった。日本で軽印刷といわれた世界はduplicatorともいわれ、タイプとともに事務機の分野であったからである。その事務機分野で大きく育ったデジタル印刷が近年はdrupaにも入ってきた。それがさらに大きな機械となって、オフセット印刷機と肩を並べるような展示になったのがdrupa2008であった。

しかしいくらデジタル印刷機が大きくなってもオフセットなどのウェット印刷を駆逐してしまうことはないだろうということも、今回のdrupa2008で感じられた点である。それは伝統的印刷のメカニズムの方がシンプルな点にある。インクジェットの印刷機が登場した時は、紙の搬送さえすればあとはヘッドをつけるだけで印刷ができるように思えたが、ヘッドだけで印刷機が買えそうなのが現状である。それはヘッドが非常に精密なものであって、寿命・メンテナンスという点ではラフな伝統的印刷に及ばないからである。

伝統的印刷のシンプルな構造は多様な用紙・被印刷物が使えることにもつながっているし、インキコストの安さにつながっている。一方伝統的印刷では微小な部分を細かくコントロールすることはできず、逆にデジタル印刷は一定のもの連続して作ることはコスト面からしても必ずしも得意ではない。こういったことを引きずったままでの両者であるので、伝統的印刷の操作性の向上とデジタル印刷の単価低下が進んで、両者の得意分野の重なりが大きくなろうとも、使い分けは行われるであろう。

それよりも印刷機並みのデジタル印刷にとって競合となるのは、オフィスの複合機に毛が生えたようなカラーコピー・カラープリンタなのではないだろうか? 電子写真の歴史を振り返っても、プリントセンター的な集中処理をするXeroxに対して日本の事務機が分散的に設置できる小型機を多く出して対抗した図式が思い出される。今の段階でデジタル印刷より下位のセカンドラインのマシンにとって有利なのは、マイクロソフトオフィスのWord、Excel、PowePointの広範な普及があるために、今すぐ使えるからである。

なまじっかデジタル印刷で製本などを含めたプロダクションになると、オフィスの人が勝手に使うには荷が重く、かといって専業者が従来の印刷製本の代わりに使うには機能不足で高コストなために利幅がないものとなっている。将来的には印刷物のフィニッシングが素人が簡便に指示を行えるようになって、Web2Printでオフィスの人がオーダーできるようになる。その環境が揃うまでは、オフィスアプリで作られたドキュメントをうまくセカンドラインのデジタル印刷に吸い上げることが先決ではないだろうか。

テキスト&グラフィックス研究会会報 Text&Graphics 275号より

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