本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
PAGE2009コンファレンス グラフィックストラック紹介
近年、広告分野ではCGを活用して、よりリアルな画像や映像を表現するようになっている。また、家庭用プリンタでも5~8色を使用して、画像の色域や階調表現を豊かにすることが行われている。
印刷業界の中だけを見るとオフセット4色のCMYKが中心ではあるが、画像を扱うビジネスとしては、さまざまなデバイス上で一貫した色再現を行うカラーディレクション能力が必要とされる時代になってきた。
また、Webやデジタルメディアによる情報発信はますます興隆を極めており、印刷物とデジタルメディアとの相互利用を行うことが増えている。言い換えると、コンテンツの相互利用によって価値を高めることができる。多様なメディアでの利用を想定した制作プロセスを採用することは、結果的に印刷物の価値向上に結びつくと
言える。
グラフィックストラックでは、多様なメディアにおけるカラーディレクションと多様なメディアへ向けた制作プロセスを取り上げる。
【D1】デジタル時代のさまざまなフォトレタッチ技術
従来のレタッチは印刷だけを想定し、CMYKデータを最適化することを目的としたものだった。最新のレタッチ技術は、印刷だけでなく多様な用途を想定したもので、理想的な画像生成のために照明や光をコントロールするクリエイティブな作業でもある。また、併せて工業製品向けに行われているLabレタッチも解説する。理想的な画像とは何か、どのように生成するかを取り上げる。
【D2】画像ビジネスとCG<デジカメからCGへ>
最近の画像ビジネスは、CAD と CGをセットにしたものが基本である。既に自動車、家電、建設等の画像は、CADの図面データからCGを生成し、さらにさまざまなシーン・風景を合成することで、よりリアルでインパクトのある画像とすることが行われている。模型製作や撮影のコスト、時間的な制約の面からも、今後この傾向は加速度的に増加する事は間違いない。本セッションでは、最新の画像ビジネスへいかに取り組むべきか、その対策を提示する。
【D3】印刷標準を再考する
JapanColorやJMPA標準カラーなど国内の印刷標準規格は、かなり普及し始めたとは言え、欧米のように十分に利用されているとは言えない。本セッションでは、印刷標準の利用法、あるべき姿、問題点を明らかにし、印刷、校正、モニター環境に関する具体的な提言を行う。
【D4】インクジェットの最新技術
drupa2008でも注目されたように、デジタル印刷分野におけるインクジェット技術は、生産性・コスト・品質・用紙適性などあらゆる面で技術革新の可能性が大きく、将来性の高い技術と言えるだろう。デジタル印刷におけるインクジェットの占める割合も、徐々に拡大していくことが考えられる。言い換えると、今後のデジタル印刷はインクジェット技術とともに進化していくことが考えられる。
本セッションでは、最新のインクジェット技術について取り上げ、今後のブレークスルーは何か、今後の可能性を議論する。
【D5】オンライン校正の導入と効果
チラシやカタログ制作では、下版まぎわに赤字修正が集中する場合が多い。校正業務は印刷会社と発注元の双方の負担となっており、万一の事故を防止する上でも、根本的な対策が望まれている。
インターネット越しに行うオンライン校正では、校正紙のやり取りを行わないため、時間と距離の制約をなくすことができる。さらに、修正指示の履歴が残り、発注者側で修正の最終確認ができるため「見落とし」や「事故」を防止することができ、校正業務の大幅な効率化を実現する。
デジタル化が当たり前となったDTP制作・印刷工程に、唯一置き去りにされた「校正」業務を、どのようにデジタル化し、効率化を実現することができるか議論する。
【D6】 XMLと日本語組版、CSS Print
印刷物製作プロセスとWeb制作を融合する有力な手段の1つに、スタイルシートを利用する方法がある。Webの代表的なスタイルシート技術であるCSSにも、日本語組版機能が搭載される見込みがある。近い将来、Webと印刷のマルチユースのための技術として、広く普及することが考えられる。
このセッションでは、Web上で印刷物レベルの日本語組版を実現する方法と可能性について議論する。
(2008年12月)