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2011年はソリューション・プロバイダーへ踏み出す時

掲載日: 2011年01月24日

印刷業は地域に密着している、ひとり一人の手元にメッセージを届けられる、紙の印刷物から電子メディアまでさまざまな手段が提供できて、いろいろな仕掛けを企画して実行できる立ち位置にいる。

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印刷物は生活のあらゆる所に存在する社会インフラの一つといえるでしょう。「人がいるところに印刷物あり」ということですが、裏を返せば人が居なければ印刷は要りません。地域の人口減少は自治体にとっては税収が減少する、流通業は買ってくれる人がいなければ店を閉じる、建設業や不動産業も商売になりません。印刷も同じということになるのですが、「印刷は受注産業である」と定義してしまえばそれも仕方ないとなるのかも知れません。

しかし、印刷業は地域に密着している、ひとり一人の手元にメッセージを届けられる、今なら紙の印刷物から電子メディアまでさまざまな手段が提供できて、いろいろな仕掛けを企画して実行できる立ち位置にいるのです。印刷のように「どこにでも入りこめる手段を持っている」業種は他にありません。

宇都宮市長で2期目の佐藤栄一氏は「50万市民の一人ひとりの幸せと、夢、希望を実現していく」ために「100年先も活力ある発展が続く持続可能な都市」の確立を目指しています。そのため民間企業が提案するソリューションを活用して、市のブランド化を実行しました。

その企業は、初めに"まちへの誇り=UTSUNOMIYA PRIDE"をコアにして、多数の市民を巻き込んだ4つの「創造ボランティア」活動を展開しました。そして市民投票まで行って『住めば愉快だ宇都宮』のブランドを市民の総意という形で決定し、行けば行くほど発見がある街、食べて楽しい住めばもっと楽しい、100年先も住みたい街に、愛すべき宇都宮らしさをと、ブランドをアピールしています。

市長・職員は何種類もの「宇都宮愉快名刺」を持参、市内の企業や団体は「愉快スローガン」をアンテナショップ、イベント、JR駅でも積極活用、また市民モデル200人による市内176か所での「宇都宮愉快写真展」など、宇都宮市が一丸となっての地域活性化を実行しました。

これによって佐藤市長が使命としている、移り住んできた人の安心や快適性、高齢者、障がい者、子どもをはじめとした全ての市民にとって優しく住みやすい街づくり、さらに事業者からも「選ばれる都市」を目指す活動を支援しています。このような展開は地域活性化ソリューションの一例です。地域戦略のCSR(社会ないしは利害関係者のニーズに応えることで企業の存続と発展を狙う取り組み)とも言えるでしょう。「印刷(物作り)ができて提案もできる」ことは印刷業の大きな差別化です。

昨年全日本印刷工業組合連合会から発表された『産業成長戦略2010-ソリューション・プロバイダーへの進化』では、経済産業省が提言する『新成長戦略』の7分野に対して、「組織のコミュニケーションを円滑にする技術、販売促進の技術、感性価値創造、メディア・ユニバーサルデザイン、個人情報の管理技術、封入・発送…等々、顧客の課題解決の様々なノウハウ/資源を活用」など、印刷業がめざすべき方向をソリューション・プロバイダーであるとしています。2011年はソリューション・プロバイダーへの第一歩を踏み出す年にしてください。

(JAGAT 参事 相馬 謙一/日本印刷新聞 2011年1月1日より一部改変 )

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