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PAGEでのカンファレンス・セミナーの申し込みを見ていると、人気No.1は何と言っても「電子書籍」がらみのセッションである。しかし・・・
直近に電子書籍ビジネスを考えている方、電子書籍の周辺ビジネスを考えている方、斜に構えて懐疑的に電子書籍を見ている方等々皆様それぞれだとは思うが、どうも印刷業界としては無視できない存在だという共通認識は持たれているようである。
しかし電子書籍のフォーマットはEPUBに代表されるようにXML+CSSのZIP圧縮というようなデータ形式で記述されている。
これを冷静に考えてみるとDTPで使用しているPostScript(PDF)のようなページ記述言語とEPUBは水と油(調理に使うバターくらいのイメージか?)のようにかけ離れているものなのだ。つまり「DTP作業だけを考えて、電子書籍の組版なら印刷業界だ」と短絡するのは甚だ危険なことである。
Web業界の方が「HTML的なタグ付き言語に慣れている」と言ったら単純過ぎるのだが、慣れ自体はそれほど大きな問題ではない。
大事なのはXMLデータベースからHTMLへの変換、つまりホームページの自動作成、自動生成等に関するデータベースパブリッシング等の素養で、これはどう贔屓目に見てもWeb業界の方に分があるといえる。
これはこれで印刷業界として早急に何とかしなくてはいけないのだが、まずは自分の得意分野を認識する必要がある。
印刷業界がWeb周辺の業界に圧倒的に勝っているのは「色の知識」「画像レタッチのスキル」だろう。これらに関してはWeb周辺業界が、一夜漬けて勉強してもどうにかなるものではない。色の絶対値を数値で合わせるのが関の山で、調子再現などという分野は本当に難しいものである。
ここまで電子書籍やWebの存在が大きくなっている現在、画像の調子再現というのは重要な差別化要素である。
例えば紙の書籍コンテンツは山ほどあるが、CMYKデータしか残っていないケースがほとんどであろう。これを機械的にRGBに変換したとしても墨っぽい画像になってしまうのは衆知のことである。
レタッチする場合、切抜き合成や二か所の相反する条件、例えば「白を飛ばさずハイライトを明るくする」などに時間をかけていてはまったくペイしないのが、電子書籍コンテンツである。
こんな場合に打ってつけなのがHDR合成を使ったスーパーレタッチ法であるが、PAGEカンファレンスG1「HDR合成が変えるレタッチ、画像表現の世界」 でノウハウを伝授している。
また、CMYKデータとRGBデータの整合調整をしたり、iPadでの色データをいかにハンドリングするか?ということはS09「儲かる画像データ分析とレタッチ実践」 で解説する。
印刷業の特徴を伸ばして差別化したい会社、逆にWeb業界の方にとっては何が不得手か?その克服にはどうするか?!という実践的ソリューションを学ぶことが出来ると確信する。
関係セミナー
■PAGE2011
2月2日(水) 12:30-14:30
G1 「HDR合成が変えるレタッチ、画像表現の世界」
2月3日(木) 15:15-17:15
G4 「印刷業界にとって現実のものになった3DCGビジネスの実態」
2月4日(金) 9:45-11:45
S09 「儲かる画像データ分析とレタッチ実践」