本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
通販会社と付き合うには・・・・・・
■再び増える紙カタログ発行部数の背景
近年は紙カタログの発行部数が再び増え続けている。ネット専業の通販会社が増え、従来型通販会社もネットへのシフトを進めてきた。しかしネットの普及から時間が経ち、ある意味で紙カタログの再評価が進み始めた。
顧客にネットから注文してもらえれば、コールセンター費用が安くつくメリットは大きい。しかしネットの客はうつろいやすく、特定の通販会社へのロイヤリティが低い。また、純ネットと呼ばれるネットで見てネットで注文する顧客の商品単価や客単価は紙カタログの顧客より低い。
ネット通販単独で収益を上げているのは上位数%と言われる。ネット通販の参入障壁は低く、会社立ち上げは容易だ。しかし、無数にあるネット通販サイトの中から顧客に選ばれ、なおかつネットだけで継続購入の仕組みを構築することは難しい。
■紙カタログの優位性と分冊化の流れ
ネット専業通販でも、一定規模以上になると、紙カタログの必要性を感じ始めることが多い。紙カタログの長所は、通販会社へのロイヤリティが高いこと、商品単価が高いこと、客単価が高いこと、自宅まで届くプッシュ媒体だから新規客獲得や休眠客掘り起こしに有効なことなどだ。
生活者の嗜好が多様化し、分厚いカタログを一律に数100万部作って等しく届ける手法は難しくなってきた。通販会社は生活者の変化にマーケティングの細分化で対応し、カタログの分冊化を進めて効率を求める方向にある。
通販における媒体費用と売上高のコストパフォーマンス最大化は永遠の課題である。ネットだけでも難しく、紙だけでも難しい。リアル店舗やネットとの組み合わせ、新しく出現したiPadの活用なども含め、通販各社は様々な試行錯誤で自社に合う組合せを模索し続けている。
■成長する通販会社を見つけてともに成長する
カタログ制作へのコストダウン要請、スピードアップ要請が強まっている。紙のスピードはネットにかなわないし、ネット専業で事業を拡大してきた通販会社は、カタログ制作費用を高く感じる。
印刷会社は、そのように伸び盛りで、ネット専業では限界が見えてきて、印刷媒体を必要とし始めたが、規模は大きくない通販会社をどのように支援して成長のパートナーになっていくかである。
鯉渕氏によると、①商品開発力、②マーケティング力、③顧客育成力、④販売促進力、⑤フルフィルメント力のある通販会社は伸びるので、このような会社を見つけて支援していく姿勢で付き合うと、最初は収益的に厳しくても、ともに成長できる。