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この3月に実施される資格試験も数日に迫ってきている。同時に有資格者には2年一度の更新試験となる。今回は、この更新試験についてコメントしてみる。
■DTPエキスパートの認証試験の資格の登録期間は、2年間である。資格継続のためには2年後の本試験の時期に実施される更新試験を受けなくてはならない。更新試験は、資格取得後の2年間で新たに本試験の筆記問題に追加された項目(各本試験の約20%前後の新問題の4回分に相当)が概ね出題される。試験形式は、在宅受験で問題・解答用紙が送付され新技術情報・知識などのアップデートされた出題を自由に参考書やWeb検索などで調べ、期日(約3週間)までに返送する。更新試験の主旨の一つには、変化する環境の中で、一つのところに止まっているだけでなくその変化への対応能力を築くために勉強、学習してもらいたいことにある。
■今回の受験対象者は、「第3期/第7期/第11期/第15期/第19期/第23期/第27期/第31期DTPエキスパート認証試験」の合格者の資格保有者(更新回数の多い方で今回が8回目の更新となる)が対象である。おおよそ2700名の方々で、その中で申請された方が受験となる。更新試験の申請率は、約85%と高く、更新回数が多い方ほど申請率は高い傾向にある。更新試験の意義をよく理解していただいているものと考えられる。そういった意味合いも踏まえてDTPエキスパート認証試験の内容が時代に即して陳腐しないような問題作成を常に念頭においている。
■更新試験は数種類の中から各受験者に振り分けられて送付される。全体の内容はほぼ同一であるが、問題の順番や設問の順番を入れ替えている。他人とよく相談して解答を出すことは全く問題のないことであるが、単に他人の解答を丸写しを行うと言ったことを防ぐためと思っていただきたい。設問数、分量も特に規定はなく、前回からの2年間分の差分なのでその更新ごとに多少異なってくる。
■前回の出題は、問題数で23題であった。更新問題の出題項目は、・個人情報保護法・印刷関連の環境問題・アプリケーションの使用許諾・ユニバーサルデザイン・デジタルサイネージ・文章校正と校正支援ツールの機能・校正記号・簡体字と繁体字・漢字の基本点画・文字組版・見積り・RAWデータ入稿・AdobePDF Print Engine・ICCプロファイルと標準印刷規格・Labレタッチ・デジタル印刷ビジネス・インクジェット方式のプリンタの仕組み・LMS錐体値・カラーマネジメント・色・メタメリズムと演色性・トーンカーブによる色調補正・モニタと反射物の観察環境などであった。
これら出題項目をどのように思われたのであろうか。2年前ではまだまだ新しく感じるもの、レガシー的な位置づけになってしまったもの、時間の流れに関係なく基本知識として必要なものなどとそれぞれの問題に特徴、意味合いがある。
■さて、今回の出題だが、この時期の更新問題はちょうどカリキュラム改訂(第9版) と同じなので、多くの更新問題の出題はカリキュラムの改訂項目が反映されている。第9版のカリキュラムを参考にするのが効率のよい方法である。出題の中には、全部が新しいものとは行かず一部分重複しているもの、また同じ題目の問題であってもコンテンツを変更したり選択肢や設定の数値を変更したりしている。コンピュータや法令に関するものでは、時と共にその仕様や改定で変わったものはそれに応じて形で対応している。新問題の出題については、はじめから考えて問題を解くのではなく、啓蒙的な主旨で問題文を読めばわかるレベルを想定している。35期の新項目のDTPアプリケーションの基本オペレーション関連の問題、HDR、電子書籍 、デジタル印刷 (ビジネスフォーム、追い刷り、印字方式など)、ユニバーサルデザイン、Flash、HTML5、XML、LED(光源:白色LED)、著作権、コンテンツホルダなどのキーワードもチェックしておきたい。 (資格制度事務局)