JAGAT Japan Association of Graphic arts Technology


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プリントと物流の融合は 新しい潮流になる

掲載日: 2011年04月14日

月刊『プリバリ印』2011年4月号の特集は、ウェブと印刷の新しい関係を探る「web×printing」。インタビューでは日本におけるビジネスコンビニの立役者とも言えるネットスクウェアの浦上義久さんに、ウェブとプリント関連ビジネスの極意を伺いました。


深夜に入稿すれば翌朝納品、東京で入稿して大阪でピッ クアップなど、徹底したプリントオンデマンドを支えるのがオンサイトプリ ンティング(必要な場所で)というコンセプト。浦上さんは、キンコーズ・ジャパンの社長を経て2000年にネットスクウェアを設立しました。

(インタビューより)
―― その後、キンコーズ・ジャパンを退職されてネットスクウェアを立ち上げることになるわけですが、その辺りの経緯をお聞かせください。

浦上氏  キンコーズというのはもともとコピー屋さんで、ゼロックスと非常に仲が良かったのです。1990年代初頭というのは、ゼロックスがDocuTech135を発売し、少し遅れてインディゴ社のE-PRINT、アグフア社のクロマプレスが発売されるなど、オンデマンド印刷が注目され始めた頃で、キンコーズ・ジャパンの虎ノ門店には日本で初めてDocuTechが導入されました。

その後、キヤノンからPIXEL MAXのCLC1000、ゼロックスからはDocuColor4040が発売され、それまでは分速5〜10枚だったカラーコピーの能力が分速30〜40枚という世界に飛躍していきます。しかも、従来はコピー用紙以外には印刷出来ませんでしたが、厚紙もOKということで、年賀状をコピー機で印刷するようになったのが1996〜97年ぐらいのことです。

我々には印刷のことは分かりませんし、特に印刷業という意識もなかったわけですが、1997〜98年ごろに、世の中から「PODの旗手」「アメリカの会社が日本のPOD 市場を開拓した」などと言われ、何となく「プリントオンデマンド」の世界に足を踏み入れていったように思います。他に同じような業態がありませんでしたから、「ビジネスマンの駆け込み寺」とも言われ、1990年代の後半には、本当にたくさんのご利用をいただくことが出来ました。

ところが、その頃からアメリカの状況が変わり始め、出店コストが高騰していきます。昔はコピー機をそろえていれば良かったのが、DocuTechを数台入れ、インターネットに対応するためにネットワークを組み、サーバーを立ち上げるということで、以前に比べると数倍のお金が掛かります。それまでのキンコーズはプライベートカンパニーでしたが、高騰する出店コストをカバーする資金を調達するために外部から投資家を招き、「キンコーズは〇年後にNASDAQに上場します」という絵を描きながらやっていくことになったのです。

キンコーズはひとりの天才が始めた会社ですから良くも悪くも非常に自由な会社で、「予算なんか意味がない。経営者のひらめきの方が大事」と言っていたのが、「事業計画を出せ。3年後、5年後の姿を描き、IPOを実現する」という具合に変わっていきます。キンコーズ・ジャパンも、私ひとりで何でも出来た会社だったのが、予算や事業計画、あるいは投資でも本社の許可が必要になってしまいました。

古き良きキンコーズの風土に慣れ親しんだ人間がどんどん辞めていく一方で、IPO 実現に向けて、我々にも「とにかく出店しなさい」という強いプレッシャーが掛かってきます。私が「出店するのは良いけれども、日本で成功するためにはビジネスモデルを少しずつ変えていく必要がある」と言っても、「アメリカはこのモデルで1,000近くも出店してきた。日本でも同じモデルでやってもらう」という答えしか返ってきません。意見の食い違いがあらわになって、最終的にキンコーズを辞め、「自分は自分の考えでビジネスをやろう」ということで起こしたのがネットスクウェアです。

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本誌では、キンコーズを経てネットスクウェアを立ち上げるまでの道のりや苦労、今後のビジネス戦略について6ページにわたるインタビューを掲載しています。是非チェックください!

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『プリバリ印』2011年4月号

特集: web×printing
ウェブの進化と超印刷ビジネス

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印刷物をつくる人・つかう人の虎の巻 『プリバリ印』



※2011年5月12日(木)~14日(土)にインテックス大阪で開催される「JAGATカンファレンス in JP 」では、浦上氏によるセミナー(デジタル印刷で成功する条件 )が開催されます。

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