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電子書籍に意欲的な印刷会社増加【クロスメディアアンケート調査】

掲載日: 2011年05月24日

クロスメディア研究会では、メディアの多様化に印刷業・印刷関連業がどのように取り組んでいるかの現状調査として、JAGAT会員を対象に第2回目となるクロスメディア対応に対するアンケート調査を実施した。

印刷業・印刷関連業がクロスメディア対応へ取り組む流れのなか、クロスメディア研究会では情報提供・啓蒙、クロスメディアエキスパート認証制度による資格試験実施などをおこなっている。このたびメディアの多様化に印刷業・印刷関連業がどのように取り組んでいるかの現状調査として、JAGAT会員を対象に第2回目となるクロスメディア対応に対するアンケート調査を実施した。

顧客からの引き合い増加に伴い、電子書籍への対応を強化する印刷会社

調査結果によると、半数の企業が、紙とネット、さらに複数メディアを横断したコンテンツ展開やワンソースマルチユースなどといったクロスメディア提案を顧客から求められる機会が増加していると感じており(「かなり増えた」(12.0%)+「少し増えた」(40.2%))、また提案する機会も増加しているという(「かなり増えた」(15.8%)+「少し増えた」(41.8%))。しかし今後の生き残りのためにクロスメディア提案の必要性を感じている半面、現実的には、半数以上が自社の利益に貢献していない(「あまりない」(23.9%)+「ほとんどない」(31.5%))と感じている状況となっている。

図1:(一年前と比較して)顧客からクロスメディア提案を求められる機会(上表)/貴社から顧客へクロスメディア提案する機会(下表)
図1:(一年前と比較して)顧客からクロスメディア提案を求められる機会(上表)/
貴社から顧客へクロスメディア提案する機会(下表)

次にクロスメディア対応として、紙の印刷以外にビジネス受注が可能なジャンルをたずねたところ、全体では「PCサイト構築」がもっとも多く(51.6%)、次いで「電子カタログ」(40.2%)、「電子書籍」(39.1%)、「モバイルサイト構築」(33.2%)と続いた。

特に「電子書籍」は、前回調査と比較して11%増となっており、この1年間で対応を強化する印刷会社が増えていることがうかがえる。アンケートでは同時に「顧客からの引き合いが多いジャンル」「今後意欲的なジャンル・キーワード」についても尋ねており、いずれも電子書籍の増加が目立っている。

地方ではデジタルサイネージ、 東京ではSNSやAR(拡張現実)への対応を強化

今後、意欲的に取り組んでいきたいジャンル・キーワードについて尋ねたところ、全体では「電子書籍」がもっとも多く40.8%で前回調査の28.1%を大きく上回る結果となった。さらに同設問を東京と東京以外の地域とに分けてみたところ、ジャンルによってバラツキが見られた。

図2:今後、意欲的なジャンル・キーワード(全体)
図2:今後、意欲的なジャンル・キーワード(全体)

「電子書籍」は東京、地方ともに意欲的に取り組んでいきたいと回答するいっぽう、 「デジタルサイネージ」に意欲的なのは東京以外の地域が32.3%であったのに対し、東京では16.7%であった。このようなバラツキは他ジャンルにも見られ、「SNSなどコミュニケーションメディア」では東京では23.8%、東京以外の地域では14.0%、「プリントオンデマンド」は東京エリアでは約半数が意欲的と回答したのに対し、東京以外の地域では37.6%にとどまった。

図3:今後、意欲的なジャンル・キーワード(東京/東京以外)
図3:今後、意欲的なジャンル・キーワード(東京/東京以外)

本調査では他にクロスメディア対応力、人材育成についての課題等についても調査項目としている。集計結果については、7月上旬ごろに調査報告書として発行予定である。

【印刷業のクロスメディア対応に関する調査】
調査対象:社団法人日本印刷技術協会会員企業
調査内容:印刷業界のメディア多様化への対応に関する意識調査
調査期間:2011年2月21日(月)~3月15日(火)
調査方法:書面調査票における選択式。一部に記入を併用。
回答企業数:調査票を912社に郵送。184社から回答を得た。(回収率20.2%) 

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