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2009年の印刷業年間労働時間は約2027時間と減少

掲載日: 2011年06月25日

印刷界 OUTLOOK2010 【労働】 


2009年の印刷業年間労働時間は約2027時間
厚生労働省「毎月勤労統計調査 年報2009年」の常用労働者1人平均月間実労働時間数(事業所規模5人以上)によると、2009年の印刷業の総実労働時間(所定外労働時間を含む)は168.9時間で、年間では2026.8時間だった。前年の月間172.6時間、年間2071.2時間と比べ、月間3.7時間、年間44.4時間(▲2.1%)減少した。
印刷業の労働時間(月間168.9時間)を周辺業界と比較すると、製造業全体(同154.1時間)やパルプ・紙・紙加工品(同158.0時間)、情報サービス業(同160.2時間)や広告業(同159.2時間)より長い。

全産業、製造業、印刷業の労働時間を比較すると、全産業全体の総実労働時間は、月間144.4時間(前年149.3時間)、年間では1732.8時間(同1791.6時間)となり、前年から58.8時間(▲3.3%)減少した。製造業全体の総実労働時間は、月間154.1時間(前年163.6時間)、年間では1849.2時間(同1963.2時間)となり、前年から114.0時間(▲5.8%)減少した。製造業全体のマイナス幅が大きいのは、製造業を代表する自動車・同付属品製造業などで不況による生産調整が行われたため、全体が押し下げられたと考えられる。

印刷業の労働時間が他業種に比べて長くなっている理由としては、受注生産のためシステム化が難しいこと、印刷物に対する要望の複雑化(多品種・小ロット・短納期化)、印刷会社への期待の高さなどが挙げられる。労働時間短縮のためには、生産性向上や要望に対する継続的な合理化努力を続けていく必要があるだろう。


印刷業の所定内給与は26万円台
常用労働者1人平均月間現金給与額(事業所規模5人以上)によると、2009年の印刷業の所定内給与(定期給与のうち残業代を除いた額)は、26万145円で前年の27万61円から9916円減少(▲3.7%)し、2007年と同水準(26万477円)となった。残業代を含めた定期給与ベースは29万279円で、前年より7037円減少(▲2.4%)した。

製造業全体の定期給与は28万7092円(所定内給与26万5693円)だった。2008年の定期給与は29万8588円だったので、比較すると1万1496円の減少(▲3.9%)になったが、所定内給与は2008年の所定内給与26万5489円とはほぼ同額となった。これは、リーマン・ショック後の景気の影響で、前年に比べて製造業全体の労働時間が大きく減少し、超過労働給与が減少した影響によると思われる。

印刷業の定期給与は製造業全体とほぼ同水準で、情報サービス業や広告業、自動車・同付属品製造業には及ばない水準だが、パルプ・紙・紙加工品製造業よりも若干高い水準となっている。

(小林織恵)
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  (JAGATinfo 2011.5月号より)

 

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