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「地方の活性化」は自らが創造、参画することである・・・。 PAGE2009セミナー「地方公共団体の動向と印刷ビジネス(G3)」

掲載日: 2009年01月19日

「刷る仕事から企画する仕事へ」をテーマに印刷ビジネスを考えていきましょう!

厳しい経済環境と進まない地方分権の中で、地方経済の疲弊といったことが報じられる昨今、都市部需要に依存しがちか印刷ビジネスを再度、地元地域に根ざした視点で印刷の役割を考えてみようというのが「地方公共団体の動向と印刷ビジネス(G3)」のセッションである。地域への貢献を通じて自らの経済基盤を活性化し強めることができないか一緒に考えてみようと企画した。
平成の大合併を終えた地方自治体での広報活動の現状を、印刷メディアとWebメディアの2つの動向と2007年10月に発足した観光庁が目指す観光立国(訪日外国人1000万人、海外旅行者2000万人、観光旅行消費額30兆円)から見た地方活性の動きをメディアの視点から探る。


■「刷る仕事から企画する仕事へ」
白旗 保則   グローバルデザイン株式会社 代表取締役 【モデレータ】

昨今、とくに地方の印刷会社の経営者や営業幹部の方々と話をすると必ず「仕事が無い!」と言う。本当にそうだろうか!?印刷物の仕事があるかないかという視点からすると競争も激しく、「仕事が無い!」という意見もうなずけないことはない。ただ、発注者の視点にたってみると印刷物を「刷る」だけが印刷会社の仕事ではないような気がしてならない。自治体広報分野でのWindowsDTPのニーズの高まりや広報手法への様々なアイディア提案、観光立国を宣言した観光分野での支援など山のようにあるのではないか。例えば、多様なメディアを活用したPR提案や資産としての観光地の写真ストックなど、「刷る」ことにこだわらなければ、かなり幅広い分野で印刷会社が活躍できるのではないかと思う。
今回は、地方における広報・観光分野の実情に詳しい専門家を迎え、現場でのニーズそして印刷会社へ期待することなどをお話いただき「刷る」ことから少し視点を拡げるだけで見えてくる潜在的なニーズを探り、そこへのアプローチ方法を一緒に考えます。

■「ネット社会の中で模索するこれからの自治体広報」
渡邊 昭彦   社団法人日本広報協会 調査・企画部長 情報デザイン室長【講師メッセージ】
全国の市区町村すべてで発行されている広報紙。それぞれの地域によって発行形態や内容は異なるものの、全戸配布を原則とする紙媒体としてカテゴライズすると、自治体広報紙は日本で最大の発行部数を誇る印刷物になります。現在では、この広報紙とWebサイトが自治体広報の主要メディアになっています。
インターネットの発達によりコミュニケーション環境が激変する中、広報紙にも新たな役割や期待が求められるようになってきました。それは、「ターゲットの明確化」や「市民との協働編集」「広告掲載による財源確保」「クロスメディアの導入」「ユニバーサルデザインへの配慮」などです。また一方で、市民活動などの広報印刷物には、まだまだアナログ的な手づくりのものが多く存在しています。
こうした自治体の広報印刷物の現状やトピックスの中から、新たなビジネスチャンスやプラスαの提案力のヒントを探りたいと思います。

「観光立国実現に向けて・・・観光は地域・地方と世界を繋ぐ」
島倉 聖朗   社団法人日本観光協会 企画・総括グループ広報チームリーダー(総合研究所兼任) 【講師メッセージ】
昨年10月。観光庁が発足し、観光立国推進に向けての体制強化が本格化し、観光業界にとって画期的な年となりました。一方では世界的な不況の波に洗われ、我が国の経済は厳しい時期を迎えています。観光は、いまや日本経済にとって非常に重要な役割を果たしており、特に国内観光の振興は、地域を活性化させるための切り札となっています。
このような情勢の中、各地域では、観光立国の実現に向けて観光振興による地域活性化の取り組みが展開されております。特に、旅行需要の拡大に向けて観光プロモーション活動が行われておりますが、宣伝キットの王道とも言えるパンレットやマップ、さらには携帯端末を使っての情報発信など、アナログとデジタルの両メディアをコンバインさせての展開が、これまで以上に重要となってきます。
むしろ、今まで行ってきた既存の枠組みやビジネスモデルを見直し、技術力や企画力、あるいは地域内外での人的ネットワークなどを組み合わせることで、印刷業界も地域の観光振興に参画する絶好の機会であると言えましょう。各地域には観光に関するビジネスはまだまだたくさんあります。各地域の企業が元気になり。そして新しい発想や着眼点でチャレンジすることが、観光業界から印刷業界に求められている時期だと思います。

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