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今後のネット戦略として、自社で開発した効率化ツールの販売とDTP通販に注力していく。
PAGE2011カンファレンスでは「印刷会社のネット戦略」と題したセッションを開催し、株式会社シーティーイー の藤田陽司社長にDTPの制作環境とネット戦略について話を伺った。
■シーティーイーの事業概要と変遷
シーティーイーは1971年に組版専業会社としてスタートし、91年よりDTP事業を行っている。2005年には秋田県鹿角市に事業所を設立し、25名くらいの生産部門がある。全体で105名の体制である。
シーティーイーの事業の6割~7割は、雑誌など出版系のDTP制作であったが、リーマンショックなどの影響でかなりの打撃があった。
そこで調査会社に依頼し現状把握を行うと、DTP制作の市場は2010年で3412億円、そのうち約1000億は外注分ということが判明した。つまり、印刷市場は縮小しているが外注ニーズは存在するということである。
客単価アップはできないが客数アップを目指すことをテーマとして掲げ、全国の中小規模印刷会社やDTP制作会社、デザイン事務所をターゲットに営業展開しようと考えた。具体的には、自社の効率化のために開発したソフトを外販することと、DTP請負サイトを構築することとした。
■業務効率化ツールの販売
検版ソフト「BeforeAfter 」は修正前と修正後のPDFをサーバー上で比較し、変更のない部分は半調やグレー表示にし、差分をハイライト表示するソフトである。赤字外の変更を見逃すことがなく、好評をいただいている。
「ルビクラウド 」サービスは、ルビが入力されていないテキストを、ネットを介してルビデータを生成し、自動的にルビを振っていくものである。2009年に開始して、日本全国から問合せと注文をいただき、客数が広がったと考えている。
■DTP通販:マイオペレーター
マイオペレーター は、ネットを利用してDTP作業を注文できるサイトである。キリヌキやゴミ取りなど、工程を細分化することでサービスとしている。RGBからCMYKへの変換もある。
注文の流れは、まず、注文していただいてデータ入稿してもらう。データチェック、見積りをして決済してもらう。ネットバンクの振り込みか、カード決済である。決済後、こちらで作業をしてデータを納品する。これらを全てネットで行う仕組みになっている。
マイオペレーターで取り扱っているサービスは、画像キリヌキ、スキャン、ゴミ取り、色見本、パッケージ、画像貼り込みである。また、QuarkXPressからInDesignへのコンバート作業も行っている。これは問合せが多かったため、対応することにした。2010年に、Adobe製品が全印工連の会員向けに優待販売されたため、その影響でコンバート依頼が増えたのではないか。
DTP通販は、まだ3ケ月ほどで売り上げも微々たるものである。しかし、隣にオペレーターがいるような感覚で注文できると重宝がられている。また、動画制作会社から動画マスク切りの依頼があるなど、予想外の動きもある。
大連の会社とも一部提携している他、鹿角市の事業所があるため、人件費や管理コストを抑え、品質を維持している。
■今後の対応と課題
今後はASP系とかクラウド系のサービスを検討している。
例えば、DTPデータのプレビュー機能がある。これは営業マンのノートPC上でもInDesignなどのDTPデータの内容をプレビューで確認できる機能である。その他、自動キリヌキや自動棒組、クラウドを活用した検版や、色の最適化サービス、3D画像作成など、アイデアはたくさんある。