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【クロスメディア研究会セミナー】
今後のスマートフォン周辺のビジネス機会を理解する
~情報通信最新動向2011 ITとコミュニケーションの重要キーワード解説~
講師:情報通信総合研究所 山本 耕司氏、宮下 洋子氏
情報通信分野は、サービスと端末が多様化し、いかに新たな価値を提供するかが重視されるという局面を迎えている。2011年9月のクロスメディア研究会セミナーでは、「今後のスマートフォン周辺のビジネス機会を理解する」と題してITとコミュニケーションの重要キーワードについて学んだ。講師は情報通信総合研究所の山本耕司氏、宮下洋子氏。
モバイル通信方式でLTEはNTTドコモの商品化などもあり、最近特に耳にする機会も多くなった。通信方式では過去1G, 2Gを経て3G, 3.5Gが現在の主流である。日本ではLTEは3.9Gと呼ばれているが、ITUの解釈により世界では4Gと呼ばれている。(本稿では3.9Gとする)
LTEの特徴は、データ通信専用であるということである。これはこれまでで初めてのことで、音声通信もパケットで流す。3.5Gは3Gとの間で後方互換があったが、3.5Gと3.9Gの間には後方互換が無い。多元接続方式が異なるのと、フレーム構成が異なるためである。そのため、LTEは専用端末が必要となる。さらに、LTE専用端末では以前の方式も使えない。
LTEは、接続遅延について100ms以下という規格が定められている(これまで、接続遅延自体について規格を定めるという認識もなかった)。これはLTEの可能性として、「人間にとっての常時接続環境を生み出せる」ということがある。通常、人間は200msを目処に時間のズレを感じる。それ以内であれば、接続遅延を感じない。すなわち、LTEでは100ms以下で再度接続するので、人間にとっては常時接続しているのと変わらない感覚になる。会社内、家庭内で有線LANで常時接続している状況と変わらない感覚を無線通信で感じることができるため、様々な可能性、サービスの変化が予想される。
IPv4は0か1を32個組み合わせた(2の32乗)ものであり、その総数は約43億個。インターネットの創成期には世界中の誰もがPC、モバイルを持つと予想していない(そういう用途でない)こともあり、IPアドレスは43億個でじゅうぶんと考えられていたが、これは早々に枯渇することが予測され、IPv6への移行が提言されるようになった。しかしほぼ全てのネットワーク機器類にデファクトとなっている状況で、全面移行は現実的ではなかった。しかし、2011年に入り、IPv4の在庫が切れ始めた(もっとも上流の割り当てから順次枯渇しはじめた)。このために、否応なしにIPv6へ対応する必要が出てきた。
現在は、IPv4とIPv6が混在した状態に遷移していくこととなる。互換性がないため、混在状態がうまく接続できない事態を引き起こす可能性はある。グローバルアドレスでIPv6が割り当てられる状況も生まれる。古いルータなどを使っている場合や、P2Pのサービスで不具合を生じる可能性もある。
なお、IPv6は0か1を128個組み合わせた(2の128乗=43億の4乗)ものであり、セキュリティ機能も標準で用意されている、IPアドレスの設定も自動などの特徴もある。
地上アナログ放送が終了し、それまでアナログ方式で使用していた帯域が空く。すなわち、デジタル方式では必要な周波数帯域幅が少なく済むこともあり、周波数が余ったということである。この周波数帯の特徴は、電波が遠くまで良く届き、しかもビル等の障害物を迂回するということで、携帯電話用に大変適した周波数帯域である。この周波数帯域を巡ってキャリア間で熾烈な争奪戦が始まっているのが現状である。
また、一部の周波数帯域はマルチメディア放送(モバキャス)に割り当てが決まっている。
また、ホワイトスペースの活用という捉え方がある。主にテレビで言えることだが、未使用のチャンネルや時間帯があるところを言う。ここを、他の事業者が「(既存事業者の)邪魔をしない」のを前提に新ビジネスに活用するという考え方である。
スマートフォンの定義は、業界では一般的に以下の通りである。
・端末にその仕様を公開しているオープンなOS(汎用OS)を採用していること
・第三者がその公開された仕様に基づきサービスやソフト(アプリケーション)を開発する環境が整っていること
・移動通信網に対応していること(WiFi対応のみではスマートフォンのカテゴリに入らない)
実際には、AppleのiOS、GoogleのAndroid、RIMのBlackBerry、NokiaのSymbian、MSのWindows Phoneなどが対象とされる。
携帯電話のトレンドとしては、2007年ごろまで製品の差別化の歴史でもあった。まず第1段階として端末の小型化が進んだ。第2段階としてマルチメディア化が進んだ。つまりカラー液晶、カメラの画素数などである。そして第3段階としてデザインが重視されるようになった。薄く、軽く、なおかつデザインが秀逸なものが支持された。
そういった状況のなか、2007年にAppleはiPhoneを発表。これにより携帯電話端末、スマートフォンに大きな変革が起こった。以後登場するスマートフォンはiPhoneのモデルに追従した形になった。
Android端末の普及もあり、ここ一年で日本でもスマートフォンユーザが急拡大している。CIAJの調査でも、次に買い換えるならスマートフォンと考えている人が6割もいるのである。調査元ソースにもよるが、2015年頃になると出荷台数の半数以上がスマートフォンになるという予測もある。
このため、すでに通信キャリアでは爆発するデータトラフィックへの対応が課題となっている。アメリカでも定額制をやめ従量制に移行しているところもある。日本でもその検討の動きはあり、これによっては例えば通信を減らしたサービスや、WiFiを前提としたサービス設計が必要となることもあるだろう。
今後もLTEへの動き、スマートフォンのユーザ数急拡大については、注意しておく必要がある。