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いま広告も印刷の大きな転換期を向かえている。それはクライアントも同様である。
4大マスメディア(TV、新聞、ラジオ、雑誌)が下降傾向の中、非マス領域のマーケットが拡大傾向にある。一つのメディアではもちろん、単なるメディアミックスでも相応の効果は得られない。マスメディア以外のメディアを有効に組合せ最適化を図る取り組みが活発になってきた。クライアントの抱える課題は何か。博報堂プロダクツ・内田氏は「コスト圧縮、効果の最大化、クオリティアップ」であろうと想定する。
この厳しい環境で同じ予算であればこれまで以上の効果が出る提案が欲しいのは当然である。効果の最大化である。ここにクロスメディアの可能性がある。1100人を抱える博報堂プロダクツには4大メディアの収益はない。メディア以外に収入源を持つことがメディアに対してフリーでいられるのだという。これからの印刷が印刷メディアにフリーな立場に立つことは困難である。ただ、印刷メディアに落ちる以外の収益源を確保する能力、体制(コラボ、ジョイントも含め)作りは重要である。そのことが印刷物製造という固定的な評価、あるいは呪縛から解放される。
広告分野での印刷は、決して市場がシュリンクしているわけではないし、多様な可能性がある。ただ、単なる印刷メディアには期待が薄い、そのためには印刷メディアと他のメディアを比較しながら手段、目的の整理が大切である。
内田氏はクロスメディアを考える時の重要な姿勢として「大衆感覚」と「創造力」と「執拗さ」を挙げた。より先端的な感覚、より高度なものから志向するのではなく、リアルな普通の日常感覚の中に大きなものが潜んでいるという。そのなんでもない日常に点在するものをまとめる力、つまり想像力を働かせることが重要である。あとはこつこつと着実に実行しながら仮説検証をすることであるという。
いま広告も印刷の大きな転換期を向かえている。それはクライアントも同様である。新しい時代のメディアのあり方、役割を、クライアント、あるいは社会のニーズという視点から考えてみたい。
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