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Androidが注目された理由

掲載日: 2011年12月13日

iPhoneとAndroidの開発コンセプトの違いとして、iPhoneは電話のできるiPodと捉え、音楽プレーヤーの延長であると考える。

対してAndroidはクラウドのフロントエンドと捉える。ハードウェア視点かインターネット視点かの違いである。Appleはハードウェアでの収益があり、そのためサービスは無料に近い状態で提供する。Androidの背景としては、Googleは検索の機会を増やしたいという意図があり、今後モバイルコンピューティングが活発になればなるほど、Googleの利用シーンが増えるだろうという読みがGoogleにはある。
コンピュータ及びサービスについてのトレンドとして、エンターテインメントからビジネスへ移行してきたことがある。ゲームなどの隙間時間つぶしからブラウザベースのビジネスアプリへ、ソーシャルアプリも出会い系からビジネスマッチングへ移った。スマートフォンもビジネス主体のモバイル機器としての性格が強くなってくる。ドラッカーによれば「21世紀の革命はホワイトカラーの真の生産性をアップさせること」であり、スマートフォンこそがホワイトカラーの隙間時間の生産性をアップさせると考える。

なぜAndroidなのかというポイントは以下の通り。
・ハードウェアの選択が可能
・オープンソースであり、コスト削減が期待できる
・FLASH対応(Android2.1以降)
・いわゆる勝手アプリが作れる=クライアントサーバーのフロントに使える、受託アプリが作れる
・サーバーサイドJavaとの連携も可能

Androidの未来像としては、二極分化が予想される。かつて日本の携帯端末は海外に進出しようとして失敗してきた。その原因はキャリア主導で規格を縛っている状況があり、それに沿った端末を作らざるを得なかった。しかしスマートフォンになり端末メーカーが主導で端末を開発し、キャリアがそれに合わせる形になった。そのため高機能な日本製Androidスマートフォンが世界を席巻する可能性は十分にある。
対して、低価格なタッチ端末は台湾製、中国製などがシェアを握る。このことで世の中の生活にタッチ端末が行き渡る。今までパソコンが普及していなかった業界ほど浸透する。高価格で専用言語でプログラムしにくい既存ターミナル端末が衰退していく。
また、Androidが生活家電のOSの主流になっていく。セットトップボックスやデジタルサイネージ、カーナビなど、ユーザにとっては何が入っているかは問題ではなく、次々にAndroidに置き換わっていくとみられる。

現在はiPhoneアプリからAndroidアプリへの移植が旬である。そのため複数機種の対応が迫られる。そうなるとワンソースマルチユースというわけではないが効率化を考えると単体アプリはWebアプリへ移っていくことになる。そこで本命になるのがHTML5である。
野村総研のレポートによれば、2011年でモバイルソリューションがモバイルコンテンツを抜く。ここでいうモバイルソリューションは、モバイル端末に依存するアプリ開発や保守、運用市場を指す(グループウェア、CRM、ERPなど)。そしてモバイルコンテンツは、モバイル端末向けの有料コンテンツサービス全般を指す。つまりこれまではエンドユーザー向けの音楽、動画、電子書籍などのコンテンツが隆盛だったが、今後はモバイル活用のBtoBが躍進するということである。これがエンターテインメントからビジネスへ移行用途が移っているということである。

(Jagat infoより)
(JAGAT 研究調査部 木下智之 )

 

 

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