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薄紙製本の現状と問題点

掲載日: 2009年02月02日

書籍、チラシ、カタログ、伝票類と薄紙に印刷して製本加工されているものが世の中に出回っている。こうしたものはそれぞれの目的に応じて薄紙が使用されている。
しかし、薄紙は静電気をもちやすく温湿度に影響されやすい・破れやすい・シワになりやすいという性質があり、現場で作業する人にとっては厚紙とは少し違った苦労もある。

あいまいな薄紙の概念

薄紙の代表的なものとして辞書などで使われているインディアンペーパーなどを思い浮かべる。しかし、薄紙は連量や斤量で一般的にどのくらいの重さのことを言うのか概念として明確ではなく感覚で捉えられていることが多い。一般的には四六判換算で55kg以下が薄紙とされているようだ。

薄紙は温湿度の影響を非常に受けやすい。季節によっても温湿度の差は大きいので印刷工場内の空調は常に温度25度前後、湿度60%前後という条件を保っておかなければならない。空調が整っていないと特に枚葉機の場合はフィーダーから紙がうまく流れないというトラブルにもつながる。

製本加工上の問題点

製本する時にまず折り工程がある。ここでは紙の姿勢をきっちりセットしないとフィードのところで紙が機械の中に送り込まれない。折り機のローラーが磨耗していると特に薄紙は折りにくくなる。また、版型の小さい厚紙をやっている機械では薄紙は通りにくい。ローラーは鉄とゴムでできているためすぐに磨耗するわけではないが、ローラーの正確な間隔調整やメンテナンスが大切である。

丁合機上では折丁を取った時に破れやすいという問題がある。特に4色のカタログなどでも16ページ立てでページ台数が多いと丁合台数が増え丁合機上での搬送で不都合が生じる場合がある。くるみ機までの間で折丁を垂直に立てなければいけないが、その時に薄紙には腰がないため折れやすい。この場合、基本的にはページ数を多くして厚みを稼ぐことで折れにくくしている。

くるみ工程のプレスで背を成形するところでは接着剤を使用するのでシワが出やすく品質上の問題が発生しやすい。特にアジロでは糊を中に押し込むために背中が膨らむ。それを平らにするためにプレスを掛けるとストレスが出やすくなりシワになる傾向もある。同じ台数、同じ紙質のレベルで無線綴じとアジロ綴じを比べると後者のほうが背中をたたくのでシワが出やすい。

逆に、1枚目だけのシワという問題もある。俗に「まくれる」と言われることであるが、そうしたケースは無線綴じに発生しやすい。アジロ綴じはミシン目部でつながっているので引っ張られてもあまり影響がない。無線綴じは単独のペラなので糊の押し込みは少ないので背中の広がりの程度は抑えられるが、1枚目だけまくれ上がるということが多い。無線綴じとアジロ綴じではどちらにしでも完全にシワを抑えられるというものはない。

こうした問題を少しでも解決するための手段としては糊の選定が非常に大事になってくる。糊の種類を変えることによってだいぶ防げるようだ。粘度については高い・低いと言うよりも、いわゆるさらさらしたタイプか固いタイプかというイメージで捉えられている。粘度についてはいろいろなタイプがあり、基本的にはさらさらした糊が好まれる。浸透力があるEVA系ホットメルトを使用して叩き込まなくても接着力が上がるような糊を選択するという方法も取られている。

薄紙化するメリット

考え方はいろいろあるが、書籍のページ数を増やさなければならなくなっても、書籍自身のボリュームをあまり厚くしたくない、重いと使い勝手としては悪くなるので薄紙にすることもある。しかし、薄紙と言ってもインディアンペーパーはキログラム単価が高いので薄くしたからといって必ずしも金銭的メリットがあるわけでもない。同じインディアンペーパーを使用している書籍の中で薄くすれば安くなるが、普通の上質紙を使用している書籍をインディアンペーパーに変更しても必ずしも薄くした金銭的メリットがあるとは言えない。もう一つは運搬コストの面でボリュームのあるページ数の多いマニュアル類やカタログ類は紙を薄くして重量を抑えたいという傾向もあるようだ。当然いろいろな品目によって違うと思うが、郵送コスト面から紙の値段を考えた時にはできるだけ薄い方向にということも考えられる。

印刷する立場からは薄紙への印刷は大変ではあるが、こうしたことに対応できるような何か工夫をしなければいけない。これらとは逆の場合もある。女性雑誌などでは本として見映えを良くして高級感を出すために厚紙を使用しているケースもある。

(『JAGAT Info』2009年1月号より抜粋)

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