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[若手印刷人 リレーエッセイ] お客様が販売促進や情報発信やデータ加工でお困りの時に、気軽にお声掛けしていただける「便利屋」でありたいと思い、日々頑張っております。
私は、株式会社大元堂の水谷元泰と申します。弊社は、愛知県名古屋市にある印刷会社で、創業から50年余りで、社員数は8名です。22年前に私が修行から戻るまでは4名でしたが、3年程前の10名をピークに、定年による退社で補充せず現在の8名のメンバーで固定しております。
弊社は、私が入社前は伝票や封筒などの事務用印刷がメインでしたが、輪転を多数持ってらっしゃる株式会社誠進堂様(現在の株式会社ネッツ様)で修行させていただいたお陰で、商業印刷も多く手掛けてまいりました。
しかしリーマンショック以降、お客様が合併をしたり、名古屋から撤退したり倒産したりと、大変厳しい状況が続いております。また、他社の嫌がるような細かい仕事や、手間の掛かる仕事を好んで地道にやってまいりましたが、年々印刷物の受注点数も金額も減少傾向にあり、他社も今まで嫌がっていたような仕事にも手を出されるようになりました。このままではますます厳しくなる一方だと思い、印刷以外の業務にもより一層力を入れて、模索している最中でございます。
看板・POP・Web・メルマガ等の広告や販促のお手伝いをさせていただいたり、ドキュメントのスキャニング・データベース・ファイルやディスクのプロテクト等のデジタル関連のお仕事をしたり、Facebookの講師をさせていただいたり、セミナーや異業種交流会を主催させていただいたりと、お客様が販売促進や情報発信やデータ加工でお困りの時に、気軽にお声掛けしていただける「便利屋」でありたいと思い、日々頑張っております。
具体的には、3年半程前から美容院やマッサージ屋さんやネイルサロンさん向けに、携帯電話から予約ができて、売上管理もできて、メルマガも送れるシステム(楽リザfacebook.com/rakuriza)を作り販売しております。弊社はもともと伝票屋ですので、会計の道具をお客様に提供するという意味では同じだと思い、この商品を販売させていただいております。アナログの知識や商品しかなくアナログをご提案するのと、デジタルとアナログの両方の知識や商品を持ってどちらが適しているかを判断した上でアナログをご提案するのとでは、意味合いも違いますし、私自身あらためて紙媒体の良さを再認識できることもあります。手間も経費も掛かりますが、良い勉強をしながらお仕事をさせて頂いていると考えております。
また、弊社も小さいながらも印刷機を数台持っておりますので、機械も回さなければなりませんので、複写式のメモ帳(同報メモfacebook.com/rakumemo)という、目に見える形のある商品を作り、自社でできる技術の「見える化」をして、弊社の事を分かっていただいて、受注に繋げようと頑張っております。もちろん、現在も売り上げの大多数は紙の印刷が占めておりますが、「便利屋」のイメージを持っていただいて「紙にインキを付ける」以外のことを期待してお声掛けして下さっているお客様が少しずつ増えているように思います。
「何でもやり過ぎじゃないか?」「一人で抱え過ぎてないか?」と私の身体を心配して下さる先輩方もいらっしゃいます。以前、どなたかから教えて頂いたのですが「不作為の罪」という言葉があるんだそうです。「何もしないことが一番の失敗」ということなんだそうです。業界全体の業績が悪くなっているなら、当然自社の業績もつられて悪くなると思います。やり方がわからなくても、上手くできなくても、やる自信がなくても、「考え続ける」「行動し続ける」ことしか解決の方法はないと考えています。
さて、私事ですが、名古屋而立会(http://www.jiryu.jp/)という愛知県印刷業の勉強会の平成23年度会長をさせていただいております。今年度は、「明日のために強い会社を作る」を年間テーマに、厳しい時代でも利益を生み出し、生き残って行くためのヒントを得られるよう、会員の皆さんと共に毎月勉強させていただいております。この而立会で、多くの先輩方や仲間達から、知識も刺激もいただいたお陰で、今もまだ印刷業界で頑張り続けていられるのだと感謝しています。これからも、より多くの仲間と刺激し合い高め合っていこうと思いますので、愛知県の印刷会社の若手経営者の方のご入会を心よりお持ちしております。