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スマートフォン向けのWebサイト対策がなぜ重要となっているのかを、ケータイ白書2011から紐解く。2009年にはスマートフォンユーザの利用状況は4%であったが、2010年には9%に上昇した。2011年のシェアがさらに強まるのは確実である。
2010年から2011年にかけて、スマートフォン市場は大きく変容した。2010年の段階では女性の利用状況はまだまだ少なく、男性ビジネスマンが中心層だった。首都圏では流行っている段階であり、フィーチャーフォンも存在感を示していた。だが、2012年以降は大きく変わると予想される。
スマートフォンで利用している機能はというと、83.3%がWebサイトの閲覧なのである。音声通話は27.7%に過ぎない。つまりスマートフォンを情報端末として使っているということである。
検索サービスの利用頻度においても、スマートフォンで一日に5回以上検索しているユーザが26.9%もおり、フィーチャーフォンに比べれば倍である。Twitterの利用頻度も同様で、つまりスマートフォンユーザは、ネットサービスやWeb閲覧に意欲が高いユーザなのであろうと見ることができる。家でもPCでなくスマートフォンでネットにアクセスしている傾向にある。
スマートフォン向けWebサイトデザインにはトレンドがあり、これまで3つの波があった。
第一に、iPhoneを参考にしたデザインである。iOSのインターフェースやデザインを踏襲し、ともかくスマートフォンに馴染むデザインに仕立てた段階である。
第二に、Androidが登場・普及したことで、スマートフォンらしいオリジナリティあるデザインが追求された時期がある。先駆的存在だったのがヤフー!である。スマートフォンへ対応したWebデザインを採用したことで話題にもなった。タブやカルーセルなどJavaScriptで動きのあるデザインを取り入れたことはNAVERも同様で、これ以後は各Webサイトもこれに倣った。
デザインの第三の波、マルチスクリーンサイトという考え方がある。
まずスマートフォン向けに(狭い画面幅で)サイトをデザイン・配置していく。そうするとスマートフォンユーザにどうしても必要なメニューやページ構成を決められる。こうして軽量かつ最低限必要なサービスを盛り込んだデザインを作っておき、PC向けに広げていく手法である。PC向けに広げていくのは、つまりウインドウ幅が大きくなったときに動的に対応させるように制作するということである。これにより、PC向けにはフルメニューのデザインで提供できるとともに、スマートフォン向けに別々にサイトを作らないでよくなる。
回線速度が遅いわりにブラウザはリッチになっているので、どうしても凝ったデザインとシンプルなデザインのせめぎあいになる。その際、画像をなるべく少なくコードの軽量化をはかるため、HTML5とCSS3の活用は今後重要になってくる。これにより、スマートフォンサイトによく使われるデザインの多くを、画像化ではなくテキストで表現できるようになる。
Twitterの(アプリではなく)Webサイトも、iPhoneからアクセスするとまるでアプリのように動きのある使い勝手のよいサービスになっている。しかしAndroidからアクセスするとそういった動きが表現できない場合もある。Windows Phoneも加わることで、それぞれの出来ること出来ないことのノウハウ構築は大変ではある。しかし、今後はWebでありながらアプリのように挙動するスタイルが主流となってくるはずである。
(Jagat infoより)
(JAGAT 研究調査部 木下智之 )
2012年のスマホ対応の必要性はますます高まる。そんな中、どのような提案が説得力をもつだろうか?
PAGEカンファレンス「スマートフォンの急速な普及によりコミュニケーションインフラがどう変容するか 」