JAGAT Japan Association of Graphic arts Technology


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DTPエキスパートのための注目キーワード -18-

掲載日: 2012年02月15日

【第18回】 網点


■網点の大きさ、その形状は?
通常のオフセットの商業印刷物では、150~175Lである。この単位Lは、スクリーン線数と呼ばれ、1inch当たりに何個の網点があるかを示している。つまり150Lでは網点が、1inchの幅に150個並ぶということである。数字が小さくなるほど網点の大きさは大きくなる。これらの網点(AM網)は、振幅変調 (Amplitude Modulation)で網点の形状(大きさ)を変えて階調を表している。その形状には、スクエアを中心に、チェーン、ラウンド、エリプティカルなどが挙げられる。
印刷の用途によって使われる網点の線数・種類は変わり、新聞のような非塗工紙には、100L程度の線数である。線数を増やすことで品質の向上を目指した高精細の線数もあり、とくに何線以上との定義はないが、だいたい240L以上が高精細といわれる。高精細の網点は網点自体が細かくなるので、品質の向上として、写真調の画質、細部の再現の向上やモアレの軽減が図れる。網点が細かくなることで網点全体では周長の和が大きくなり、それに伴ってドットゲイン量も大きくなる。ロット数や印刷方式によっても異なるが、多少ではあるが使用インキ量の削減が期待できる。

■スクリーン角度は?
AM網点では、網点に形があるのでスクリーン角度があり、多色で網点を重ねる場合には、それぞれの版(単色)同士のスクリーン角度をずらして重ねないと設問の図版にあるようなモアレの発生の原因となってしまう。スクエアの網点を例にとった場合、45度が最も目に馴染みやすいと言われるので主版であるM版を置き、そこから30度ずつ割分けてC版とBk版に振り当てる。既に割り振られる角度はないので残りのY版を、さらにそこから15度振った角度に設定されることがある。Y版は、目に訴えにくいので実際にはモアレが発生しても目立たないからである。一般的なこのスクリーン角度の組み合わせに置いて完全なものではないので、4色が重なることがある中間にグレー部分では設問にあるような亀甲のようなロゼッタモアレが発生することがある。

■FMスクリーンとは?
AM網点の他にも周波数変調(Frequency Modulation)、つまり網点の密度を変えて階調を変えるFM網点もある。見た目には、砂目の網点に似ている。メーカーによってそれぞれに特徴があり、一つひとつの形状が、小点で構成されるので、AMの高精細網点と同様の特徴がある。FM、高精細の網点出力が普及したのは、CTPの出現によって刷版上の最小点が再現できるようになったことがある。
スクリーン角度が存在しないのでモアレ発生の懸念がない。しかし、網点自体が細かいのでAM網点の高精細と同様に印刷上での管理が厳しくなる。またドットの形状がリニアには変化しないので、ドットゲインカーブも一次曲線ならなかったり、4版が異なったカーブになるので、そのカーブを求めることには慎重にならなければならない。
さらにハイライト部分は、FM、中間調はAM、シャドウ部分はFMといったように、両者の特徴を取り入れたハイブリット的な網点もリリースされている。高精細の網点と同じように付加価値印刷を行うための一つの手段である。
以上の基本概念を踏まえた上で以下の例題で再確認してみよう。
(教育サポート部)

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模擬問題
■問い 
それぞれの図版を参照しながら、次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。

モアレkeyword12-1.jpg
モアレとは、複数の規則的なパターンが重なったときに発生する[1:①屈折 ②干渉 ③回折 ④散乱]パターンのことである。印刷でCMYKの4版を重ね合わせるとき、モアレは45度が一番目立たない安定した状態であることが経験上で分かってっている。次に目立たない角度は45度から[2:①0 ②15 ③30 ④45]度ずらした角度である。3版の網点を重ねる場合は90度の中に30度ずつ回転させれば全てうまく収まるが、CMYKによる4版になると90度の中に4版を割り振らねばならず[3:①1版のみ90度回転させている ②1版のみ22.5度回転させている ③モアレが発生しない角度を計算している ④必ずモアレが発生している]。適性でない角度で印刷されると見苦しいモアレパターンが現れる。図の (A) と (B) はともにモアレの画像であるが、ロゼットパターンと呼ばれているモアレは[4:①A ②B]の方である。

 
スクリーニング技術keyword12-2.jpg
デジタルの網点生成において、モアレの発生など品質に影響を与える要素としては、連続階調数や[5:①出力解像度 ②ハーフトーン ③ドット形状 ④版数]さらにはスクリーン角度とスクリーン線数が重要である。その中で、連続階調を生成するスクリーニング技術にもモアレを防ぐ方式がいくつかある。図版の中で、モアレを防ぎつつ高品質表現を実現させたハイブリッド方式によるスクリーニング技術によって生成された画像は[6:①A ②B ③C]である。

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解答
1:② 2:③ 3:④* 4:② 5:③ 6:②
(*2012.2.20訂正)

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