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基1 Google・Yahoo! JAPAN・TSUTAYAの考える電子書籍世界戦略・国内戦略報告

掲載日: 2012年02月09日

page2012が東京池袋のサンシャインシティで始まった。カンファレンスも基調1で口火を切ったが、約130名の聴講者で熱気に溢れていた。

最近の展示会不調の中でpage2012が始まった。展示会単体で見るとpage2012も例外ではなく、正直苦戦を強いられているが、pageらしさは展示会だけではない。カンファレンス・セミナーと一緒になってのイベントがpageであり、それだけカンファレンスの意義が高まっているともいえる。トップバッターはインプレスR&Dの井芹社長をモデレーターに迎えて、電子書籍のビッグストアーであるGoogle、Yahoo!Japan、TSUTAYAをスピーカーとして登壇いただいた。それぞれの会社で立ち位置や得意分野が異なるので大変興味深い話が聞けたと思う。
GoogleはGoogle e Booksを中心にした話だったのだが、刺激的なイメージを回避してか?最近は温厚路線に終始しているようだ。しかし、「ロングテール中心のビジネスに旨味がある」など、やっぱりGoogleらしい横綱的発言は垣間見られた。最終的に電子書籍ビジネス等のITビジネスは難しいことをやって利ざやを稼がないと成功は難しいというのが最近の傾向である。
Yahoo!Japanは「自分自身でコンテンツを作ることはしない。コンテンツ配信に特化して、日本の中でサービスを確立する」という明確なスタンスでビジネスに取り組んでいるようである。東日本大震災の際に日本の代表的な週刊コミックスを、電子書籍で配信してきた自負のようなものを短いプレゼンの中にも感じ取れた。
TSUTAYAは「電子書籍だけというよりも、TSUTAYAが関与しているビジネス全体で利益を生めば良し」という割り切りで、「障害も少ないのでは?(少ないだろう)」という現実感に溢れる話だった。その裏にはTカードの情報という強い味方がいることはいうまでもない。
詳細は後日に報告するが、電子書籍のプレーヤー達はこの三社に限ってもビジネス上手というか、相当のやり手である。印刷業界としてはこのようなやり手達と真っ向勝負は避けたいのが本音だが、下請けになるのも気が進まないだろう。何とか対等関係を築きながらパートナーとしてビジネス構築が出来たら、本業の印刷ビジネスも成功するに違いない。 そんな観点ではTSUTAYAさんの総合的に利益を出せば良いんだというスタンスは非常に参考になった。こんなセッションが最終日2月10日までカンファレンスは開催されている。当日受付も行っているので、この熱気を是非味わっていただきたい。(文責:郡司秀明)

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