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今後の急成長は確実!電子カタログ・チラシとiPad <page2012カンファレンス報告>「iPadカタログ・チラシの可能性を考える」

掲載日: 2012年02月13日

iPadに代表されるタブレットPCは、今後、一般家庭や企業内で日常的に使用されるようになるだろう。iPadやスマートフォンの普及とともに、相性の良い電子カタログ・チラシも急成長が見込まれる。

iPadに代表されるタブレットPCは、今後、一般家庭や企業内で日常的に使用されるようになると予想されている。既に、営業プレゼンや店頭での商品説明、企業内の業務用端末など、さまざまな場面で利用されている。また、携帯電話は急速にスマートフォンへと移行しつつある。

タブレットPCやスマートフォンでもっとも期待される分野に、電子カタログ・チラシがある。iPadであれば、シームレスに購入手続きへ誘導することもでき、クチコミ機能や動画とのリンクも容易である。
page2012の「iPadカタログ・チラシの可能性を考える」セッションでは、電子カタログ、電子チラシの仕組みと今後の動向を取り上げ、議論をおこなった。

■「情報の利益化」を促進する電子ブックソフトActiBook

スターティアラボ 取締役の小友康広氏は、同社の電子ブック・カタログソリューションのActiBookとその事例について語った。

ActiBookの特徴は、印刷用のPDFから生成するので制作コストが安価なことである。紙やPDFと違って、どのページが何秒見られたか、どのリンクが何回クリックされたか、ログを取ることができ、解析できる。
印刷会社、出版社、一般企業など、国内だけで1,400社以上の導入実績がある。紙のカタログを電子化した事例も多いが、出版物の立ち読みツールとしても利用されている。

国内の大手企業では、営業プレゼン用として、数千台単位でiPadを導入する例が増えている。iPadを導入する理由として、見た目が紙と変わらないため違和感がないこと、万一の紛失や盗難の際のセキュリティが確保しやすいこと、ログ解析を応用することでマーケティングツールとしての価値が高いことが挙げられている。

■電子出版プラットフォームSpinMediaと新たなEコマース

ヤッパ 取締役社長の上田卓矢氏は、同社の電子出版プラットフォームSpinMediaについて紹介した。

SpinMediaは高速表示が可能で、PCやほとんどのスマートデバイスで利用でき、ストリーミング配信や独自のDRMにも対応している。産経新聞や日経電子版、朝日新聞デジタルといった電子新聞、MAGASTOREやビューンなどの電子雑誌、その他数多くの出版社、千趣会やニッセンなど大手カタログ通販のソリューションとしても利用されている。

電子カタログ、電子雑誌・コミック、電子新聞は、スマートフォン、タブレットPCとの相性が良く、今後大きく成長することが見込まれる。
通販カタログの電子版では、お気に入りの商品をマイリストに登録する機能、注文する際に在庫を確認する機能、商品を動画で表現したり、クチコミを参照する機能がある。

スマートフォン、タブレットPCの電子カタログの長所は、操作が直感的なこと、印刷物のように漠然と眺めて楽しめることである。

■Shufoo!事業におけるスマートデバイス活用

凸版印刷 メディア事業開発本部長の山岸祥晃氏は、電子オリコミShufoo!について語った。
電子オリコミShufoo!は、スタートして10年が過ぎた。現在の掲載店舗数は71,000店舗であり、コアなアクティブユーザを表すMyチラシポスト数は、約160万件である。

現在、新聞購読率が減少しており、全世帯の72%と言われている。しかし、折込した当日の閲覧率を想定すると、実際に読まれているのは対象商圏世帯の15%に過ぎない。高い経費をかけた折込チラシが15%にしか読まれていないとすると、クライアントは納得できないだろう。
それを補完するメディアが電子オリコミである。アプリやウィジェット等でプッシュ型配信を実現しているが、スマートフォンやタブレットの急増、韓流の人気俳優チャン・グンソクのTV-CMの効果もあり、2010年9月以降、PVが10倍となった。

クライアントへのマーケティングサービスとして、リアルトレンドというレポーティングをおこなっている。チラシ紙面のどの部分が注目されたか、ビジュアルに把握することができ、チラシのデザインや販売戦略にフィードバックすることができる。

今後のスマートフォンやタブレット対応として、静止画だけでなく動画や音声の活用や位置情報との連動を考えている。

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各氏に事業や新サービスが軌道に乗ったきっかけを聞いたところ、スマートフォンやiPadの急増によりユーザが増え、サービスが定着したとのことであった。スマートフォンやタブレットPCの本格的な普及はこれからであることを考えると、電子カタログ・チラシのサービスもこれからが本番と考えるのが妥当である。

また、電子チラシは印刷物との連動や印刷でできない機能を補完することに意味があるサービスと言える。今後もさまざまな応用が期待できるだろう。
電子カタログ・チラシのポイントは、印刷データを活用することで余計なコストや時間をかけずに発行すること、発行元にさまざまなマーケティング・データを
フィードバックすること、印刷物と連携することで印刷物の価値を向上させることなどが挙げられる。

(JAGAT 研究調査部 千葉 弘幸)

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