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情報通信分野は、サービスと端末が多様化し、いかに新たな価値を提供するかが重視されるという局面を迎えている。
○LTE
通信方式では過去1G, 2Gを経て3G, 3.5Gが現在の主流である。日本ではLTEは3.9Gと呼ばれているが、ITUの解釈により世界では4Gと呼ばれている。
LTEの特徴は、データ通信専用であるということである。これはこれまでで初めてのことで、音声通信もパケットで流す。3.5Gは3Gとの間で後方互換があったが、3.5Gと3.9Gの間には後方互換が無い。多元接続方式が異なるのと、フレーム構成が異なるためである。そのため、LTEは専用端末が必要となる。さらに、LTE専用端末では以前の方式も使えない。
LTEは、接続遅延について100ms以下という規格が定められている(これまで、接続遅延自体について規格を定めるという認識もなかった)。これはLTEの可能性として、「人間にとっての常時接続環境を生み出せる」ということがある。通常、人間は200msを目処に時間のズレを感じる。それ以内であれば、接続遅延を感じない。LTEでは100ms以下で再度接続するので、人間にとっては常時接続しているのと変わらない感覚になる。有線LANで常時接続している状況と変わらない感覚を無線通信で感じることができるため、様々な可能性、サービスの変化が予想される。
○IPv4, IPv6
IPv4は0か1を32個組み合わせた(2の32乗)ものであり、その総数は約43億個。インターネットの創成期には世界中の誰もがPC、モバイルを持つと予想していない(そういう用途でない)こともあり、IPアドレスは43億個でじゅうぶんと考えられていたが、これは早々に枯渇することが予測され、IPv6への移行が提言されるようになった。しかしほぼ全てのネットワーク機器類にデファクトとなっている状況で、全面移行は現実的ではなかった。しかし、2011年に入り、IPv4の在庫が切れ始めた。このために、IPv6へ対応する必要が出てきた。
現在は、IPv4とIPv6が混在した状態に遷移していくこととなる。互換性がないため、混在状態がうまく接続できない事態を引き起こす可能性はある。グローバルアドレスでIPv6が割り当てられる状況も生まれる。古いルータなどを使っている場合や、P2Pのサービスで不具合を生じる可能性もある。
なお、IPv6は0か1を128個組み合わせた(2の128乗=43億の4乗)ものであり、セキュリティ機能も標準で用意されているなどの特徴もある。
○アナログ停波後の新ビジネス
地上アナログ放送が終了し、それまでアナログ方式で使用していた帯域が空く。すなわち、デジタル方式では必要な周波数帯域幅が少なく済むこともあり、周波数が余ったということである。この周波数帯の特徴は、電波が遠くまで良く届き、しかもビル等の障害物を迂回するということで、携帯電話用に大変適した周波数帯域である。この周波数帯域を巡ってキャリア間で熾烈な争奪戦が始まっているのが現状である。
また、一部の周波数帯域はマルチメディア放送(モバキャス)に割り当てが決まっている。
また、ホワイトスペースの活用という捉え方がある。主にテレビで言えることだが、未使用のチャンネルや時間帯があるところを言う。ここを、他の事業者が「(既存事業者の)邪魔をしない」のを前提に新ビジネスに活用するという考え方である。
(Jagat infoより)
(JAGAT 研究調査部 木下智之)
2013年3月19日(火)
スマートフォン業界と関連分野の最新動向2013
~MWC2013から見えてくるモバイル業界総括