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印刷業界からも22社・団体が出展し、CO2削減のテーマに沿った新製品・サービスなど、さまざまな切り口で環境対応をアピールした。
産業環境管理協会(産環協)と日本経済新聞社主催の「エコプロダクツ2008」が2008年12月11~13日、東京ビッグサイトで行われた。10回目となる今回は「もうできる!CO2マイナス50% エコライフ」をテーマに、758社・団体が1796小間に出展、入場者数も17万人を超えた。
学校の社会科見学として、2万人を超える小中高生が来場する同展では、印刷会社がどのような仕事をしているのか一般に知られる絶好の機会となっている。また、東京都のVOC発生源として塗装業に次いで2位に挙げられている印刷業としては、環境対策を積極的にアピールしたいところでもある。
日本WPA(水なし印刷協会)は2003年から出展し、水なし印刷の普及に努めてきたが、今回は会員企業12社が出展し、水なし印刷での環境優位性をアピールした。
初出展の日本印刷産業連合会は、印刷環境配慮総合認定制度「グリーンプリンティング認定制度(GPマーク)」と、リサイクル対応型印刷物を紹介した。環境保護印刷推進協議会による「クリオネマーク」の展示とともに、「流氷の天使」と呼ばれる「クリオネ」の実物が注目を集めていた。
同じく初出展の印刷工業会は、「液体カートン部会」会員7社が取り組んでいるリサイクル推進活動を、集めて使うリサイクル協会との共同出展で紹介した。
CO2削減をテーマとする今回は、「カーボンフットプリント(CF)」がキーワードとなった。経済産業省では、商品のライフサイクル全般で排出された温室効果ガスをCO2量で表示する「カーボンフットプリント統一マーク」を決定し、CFを算定・表示した商品約100点が展示された。
初出展のトークは、最新のLCA(ライフサイクルアセスメント)データを元に印刷物の製造工程におけるCO2排出量を自動で算出し、見積書や製造報告書に排出量を明示するシステム「カーボンアイ」を紹介していた。
産環協は経済産業省からの受託により、CO2排出量削減を効率的・効果的に促進し、エコプロダクツの市場の着実な普及拡大を図ることを目的として「製品グリーンパフォーマンス高度化推進事業」を実施している。日本WPA会員6社が参加中だが、久栄社は産環協ブースでLCA事例として取り上げられた。
清水印刷紙工は、印刷CO2排出量算出モデル「Printing CO2 Formula」を考案し、CO2排出量の「見える化」を進め、国内で初めて量産技術化に成功した「UV水なし高精細印刷」も紹介していた。日本WPAは同モデルに基づき、具体的な削減提案に踏み込む、ひな型のパンフレット「“印刷物づくり”におけるCO2排出量削減のご提案」を配布していた。
栄光舎は、自社工場で実測したデータなどを分析し、月刊誌1冊当たりの精度の高いCO2排出量を開示している。環境コミュニケーション戦略「eco noge」を展開している野毛印刷社では、オリジナルのマスコットを配した会社案内が目を引いた。文星閣は、通常の水なしインキの水準に達した商用タイプW2インキ(水洗浄性インキ)を訴求していた。
日本WPA会員企業では3社が初出展となった。日精ピーアールは、水なし印刷+FMスクリーンによる「エコ・ブランディング」を提唱していた。印刷通販ピーネットは、水なし印刷と300線の高精細印刷を標準仕様として、ほかの印刷通販ネットと差別化を図っている。
同じく初出展のサンエー印刷は、日能研のブースで米ぬか油を使用した「ライスインキ」を展示していた。日能研の代表者の発案で、インキメーカー2社と共同開発したもので、地産地消・輸送マイレージの観点から今後の普及が期待される。
高桑美術印刷は、自社開発のソフトビーズ加工によるオール紙製のCD/DVDディスクケース「Ably Jacket(エイブリージャケット)」を中心に、防水、防油、変形防止のコーティングを施した紙製の遮光フードなど、紙の可能性をさらに広げる製品を出展した。
「世界ラベルコンテスト」で3年連続7度目の最優秀賞を受賞した精英堂印刷は、水なし印刷、W2インキを前面に出したパッケージを提案していた。
新日本印刷は羽田工場を水なし化したことで相当量のCO2削減を図ったことを訴求した。日本印刷産業連合会「第7回印刷産業環境優良工場表彰制度『経済産業大臣賞』」を受賞した新藤は、「まるごとエコファクトリー」をアピールしていた。
9回目の出展となるトッパングループは、「環境コミュニケーションが彩る豊かなくらし」をテーマに、環境ビジネスサポートや環境配慮型製品・技術を、具体的なサンプルを元に紹介。複数の参加型イベントを実施し、エコを身近に、かつ具体的に体感できるコーナーも併設した。
同じく9回目の出展となる小林クリエイトは、「人とシステム・人と人を結ぶ印刷会社だからこそ出来る『ECO』」をテーマに、環境負荷の小さい配送伝票「メリットフォーム」、何回も書き換えができる「リライトシステム」、記入情報の電子化により複写枚数を減らす「デジタルペンソリューション」などを展示した。
今回は6社の印刷会社が初出展となったが、環境に配慮した自社製品をアピールする場として出展した企業も少なくない。
グランド印刷は、加工しやすいダンボールを使って、より柔軟な発想や自由なデザインを実現するディスプレイの新スタイル「バリューフリープロジェクト」を紹介した。耐水性・耐熱性・耐久性にも優れた強化ダンボールを使ったPOPや什器(じゅうき)は建材としても使えるほどの強度を誇る。
シナジーコミュニケーションズは、帆風とキヤノンマーケティングジャパンの出資で、2008年1月25日に設立されたプリントマネジメント会社だが、「『印刷』を通じてできるエコロジーがあるんです」と提案していた。
一方、2回目の出展となる田中産業は、エコマーク認定のクリアファイル「ecoPPi(エコピィ)」を紹介し、朝日東京プリンテックは、古新聞を使ったゴミ箱・ペン立て作りセミナーを実施していた。
(『JAGAT info』2009年1月号より)