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スマートフォン、タブレット端末についてのニュースに溢れた2011年だったが、2012年もタブレット端末についてニュースが続くと予想される。
MM総研2011年7月のデータによれば、2015年には携帯電話契約数の過半数がスマートフォンになるという。1億台からゆるやかに上昇し、2015年には1億2千万契約という予想である。若い世代を中心にスマートフォンへの買い替えが進行する。
そんな中でタブレット端末はどうかというと、2011年9月末時点で世界でiPadの出荷台数が約4,000万台。2011年だけで2,500万台であり、こちらも急速に売れているということはいえる。2015年には全世界で3億台以上が見込まれる市場である。Kindle Fireが100万台/週で売れ続けていることがニュースになったが、それでもiOS端末の優位性は保たれるとみられている。
特にアメリカでは、2015年までに全人口の3人に1人がタブレット端末を利用し、全人口の5人に1人が電子書籍端末を利用するとみられている(eMarketer Nov. 2011)。それに対して日本のタブレット普及ペースは緩慢である。「新しい物好き」という日本人消費者の神話が通用しなかった。マッキンゼーの調査でも「今後12ヶ月以内にタブレットを購入したいか」という質問に対して「とても欲しい」「できれば欲しい」のポイントが日本は他国に比べて非常に低いという状況である。仮説だが、日本では「スマートフォンでじゅうぶん」と落ち着いてしまったユーザがいる可能性もある。
アップルはコンテンツで儲かっているのだろうか。アップルはiPhoneを主軸としながらもiPadも成長してきている。決算資料からみると、アップルにおけるiTunes Store、App Store、iBookstoreからの収益はとても小さい。ほとんどはiTunes Storeだが、これらコンテンツによる収益は全体の数パーセント、年間で54億ドル規模である。アップルはハードで利益をあげていることが決算資料からもわかる。
タブレット端末は自宅内での利用が顕著だとみられている。コムスコアの調査では、ニュースサイトへのアクセスについて時間帯に調べてみると、タブレット端末の場合は朝にピークが来て、深夜に再度ピークが来る。リビングに、価格がさがって大型化したテレビがあり、そのシーンで手元にあるのがタブレット端末。その端末にてブラウジングやメールもそうだが、テレビと連動したリモコン化、というビジョンが2012年以降本格化しそうである。
海外に比べて日本は現在はタブレット市場の立ち上がりにすぎないが、日本人ならではの消費行動、テレビとの親和などを読み解きながらサービス構築していくという方向性は成り立つかもしれない。
(Jagat info より)
スマートフォン業界と関連分野の最新動向2012 MWC2012から見えてくるモバイル業界総括
(JAGAT 研究調査部 木下智之)