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10・20代女性のスマホ利用者増を背景に、これら女性をメインターゲットとする女性誌でもアプリのリリースが増えている。講談社では2011年秋、新たな市場創出のためにソーシャルアプリをリリースした。
昨年くらいから女性誌発のアプリが相次いで登場している。これには若い女性がスマートフォンを利用するようになったこととも関係があるだろう。電通の調査によると、10代・20代女性のスマートフォン利用率はこの1年間で3倍以上に増加し、フルブラウザ、SNS・ミニブログ、動画共有サイトなどを積極的に利用、パソコン並みにスマートフォンを使いこなしているという。
ひとくちにアプリといっても提供する内容はさまざまだ。雑誌コンテンツ+αの電子雑誌タイプとしては、『月刊mina』(主婦の友社)、『VOGUE girl』(コンデナスト・パブリケーションズ・ジャパン)がある。直接誌面とは連動していないが、『MORE』(集英社)では雑誌掲載ショップ情報の検索やブログチェックができる無料アプリを、『ELLE』(ハースト婦人画報社)ではウェブ・マガジン「エル・オンライン」の占いコンテンツを利用できるアプリをそれぞれリリースしており、いずれも雑誌や連動Webサイトが持つコンテンツをアプリとして活用している。
また 雑誌のブランド力を活かしたソーシャルゲームも登場している。『BLENDA(ブレンダ)』(角川春樹事務所)ではGREE向けソーシャルゲーム「おしゃれドリームGO!GO!パリ」の配信をおこなっているほか、2012年4月には、『CanCam(キャンキャン)』(小学館)がアパレルブランドとのコラボなども含めたMobage向けソーシャルゲーム「CanCam Style for Mobage」をリリースした。
講談社では、 1981年から発行されている『with』をはじめ、あわせて6つの女性誌を発行している。電子雑誌としては、コンテンツ配信「ビューン」上で2011年夏より『ViVi』『FAaU』の2誌を配信している。
アプリとしては、30代女性をメインターゲットにライフスタイルを提案する『Grazia(グラツィア)』で、2011年2月に雑誌の特集コンテンツとブログを閲覧できる無料アプリをリリースした。
20代前半から30代女性をメインターゲットに美容情報を発信する『VoCE(ヴォーチェ)』では、2011年10月にスマートフォンアプリ「美プリ!」をリリースした。同アプリはソーシャル機能を重視した構成となっており、コスメ好きな女性をメインに利用者層を拡大している。
同社で女性誌関連のデジタル化を手がけている新事業企画部の山口氏によると、「美プリ!」は紙媒体の販促ツールではなく、純粋に新しいソーシャルメディアのひとつとして開発しているという。半年あまりで17万ダウンロードされた同アプリは、雑誌読者とは異なるユーザーも獲得し、新たなコミュニティやマーケットを生み出している。
出版社にとってスマートフォン向けアプリを開発することは、雑誌から離れつつある若い女性を捕えるという点でも、雑誌が持つブランド力や蓄積コンテンツを活かせるという点でも、大きなメリットがありそうである。
(研究調査部 クロスメディア研究会 中狭 亜矢)
講談社『VOCE』のソーシャルアプリ「美プリ!」ができるまで
~出版社が手がけるスマートフォン活用事例を知る
雑誌が持つブランド力や蓄積してきたデータなどの資産を再構成し、ソーシャルアプリとしてリリースすることで新たなメディアの創造を目指す講談社の事例を伺う。 【クロスメディア研究会 Xover Night2012 #1】
日時:2012年06月29日(金) 18:00-19:20(受付開始:17:30より)
お話いただく方:講談社 新事業企画部 部長 山口 志門氏
費用:一般:3,000円(税込)/ロスメディア研究会会員:無料
会場:JAGAT 3Fセミナールーム (〒166-8539 東京都杉並区和田1-29-11)