JAGAT Japan Association of Graphic arts Technology


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自社の将来を担う、中核的技能者の育成をどうしていますか?

掲載日: 2012年04月16日

労働政策研究・研修機構調査で、約6割のものづくり企業では中核的技能者の人数が不足していると考えており、その対応策では、「中核的技能者の候補を早期に選抜し育成する」とする企業割合が最も高かった。 

2012年3月末に労働政策研究・研修機構から「ものづくり現場の中核を担う技能者の育成の現状と課題に関する調査 」が発表された。

これによると、約6割のものづくり企業が中核的技能者の育成がうまくいっておらず、その要因として「育成を担う従業員が不足しているから」を挙げる企業の割合が約5割としている。
一方、うまくいっている企業の割合は約4割で、その要因として、半数が「技能系正社員の定着状況が良好だから」を挙げている。

印刷会社の教育担当の方から寄せられるJAGATへの相談内容には、主に以下のものがある。
・製造現場のリーダーとして、「ラインの監督業務、部下の指導・育成」を任せられる人材が不足している
・自分の部門はスペシャリストとして機能をしているが、営業・工場と全体を俯瞰して見ることができる人材がいない
・仕事をスムーズに進めるための、専門知識や必要な技能を習得させたいが、「教育に出す余裕がない」「何を(技能、組織経営、部下育成)習得させればいいか分からない」
・効果的な教育訓練に関するノウハウがない

この約20年、印刷物製造工程はプリプレスがDTPに変化した一方で、受注から納品までの全工程を見ると多岐にわたり、複雑な部分がまだまだある。そのため、印刷会社にいながら、自工程以外の知識が乏しくなってしまうという課題がある。
現在、印刷業は設備力による優位性を出すのではなく、クライアントへの提案といった個別対応などの差別化が重要な要素になりつつある。このような状況では自工程だけを最適化してもなかなか全体の利益につながらず、全体最適が重要になる。

そこで求められるのは印刷の基礎的なセオリーを身に着け、さらに新技術や新領域にまで知識を広げた人材が、この広いメディア領域(横軸)と印刷物などの作成工程(縦軸)をカバーし、整流化していくことだろう。

工程間サポートを目的として、中堅社員に対するコーディネータ知識の付与と、工程内では入社3~5年ほどの「光る」人材をピックアップし養成することの両面で進めていくことが、自社内のコーディネーションの領域と裾野を広げる大きな推進力となると思われる。
「当社にはそんな人材はいない」という声は昔からあるが、「人がいない」のではなく「養成していない」という意味としか思えない。人は教育することで「人材」となる。人材の有無こそ自社の将来を見通す試金石ではないだろうか。(教育サポート部)


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