本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
ソーシャルリーディングが注目されている。元々は読書会から来ている発想だが、電子書籍の読書にソーシャル性を持たせたものである。本選びから読書中のメモや読後の感想まで、読書体験を共有するものである。
事例としては海外特にAmazonが先行している。AmazonはKindleというハードウェアとコンテンツを安く販売し、プラットフォームを握った。そしてソーシャル性を持たせてユーザを囲い込んでいるところにシフトしている。
「もっとも下線が引かれた文章」のランキングなどで人々が注目しているコンテンツが示されている。そこではどんなユーザがどんな書き込みをしたかを知ることができる。
「いま売れている」に加えて「いま読まれている」のインプレッションを増やし、コンテンツの認知度を高めて売れ行きが加速することを狙っている。Kindleで書籍を読んでいるときも、「ここで下線を引いた人が7人いる」というような情報がわかる。
他にもCOPIAというソーシャルリーディングサービスがある。これは書店のみならず様々なプレイヤーが共同ではじめたものである。一般書籍も充実してきている。このサービスにはコミュニティ要素も取り入れており、本のジャンルによって趣味のあるユーザ同士で盛り上がれる仕組みになっている。
国内の事例も続々とサービスインしている。
bukupe(ブクペ)はビジネス書籍系に強く、そういった書籍を読んだ人々がまとめを書いて共有する。ニコニコ静画もスタートした。こちらはニコニコ動画の電子書籍版といったところである。コミック系に強く、コミックの上にコメントがどんどん流れてくるイメージである。
紙の電子化において問題点が3つある。
・どこで面白い本を見つけるか?
・どのように本を読むか?
・誰と共有するか?
書店において、平積み書籍が売上が高いように、電子書籍も電子化しただけでは売れず、読者にどのようにリーチするかが非常に重要になる。
そのため、「本と出会う、読む、つながる」を体現するためにサービスを作った。それがQlippyである。
このQlippyは電子書籍ビューアと接続し、呼び出されることで機能する。そのためにSDKを提供している。ビューアで読書中にQlippyの機能を呼び出して、共有されている感想などを読むことができる。ここで読者同士、読者と著者とでコミュニケーションが発生する。TwitterやFacebookにフィードを流し込んでリアルタイムに拡散させることができる。
ソーシャルリーディングのメリットとして以下の4点がある。
・相互コミュニケーション
・ユーザ統計データ
・ソーシャルサービス連携
・運用コスト
特にユーザ統計データについては、どこを読んでいる、どこに注目が集まっている、どこで離脱しているかなどのデータを取れる。反響をつかみながら次のマーケティングにもいかせる。
(クロスメディア研究会)
(Jagat infoより)
(JAGAT 研究調査部 木下智之)