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iBooks Authorの衝撃
iBooks Author がリリース
2012 年1 月、Apple よりiBooksAuthor がリリースされた。iBooksAuthor とは、iPad 用のマルチタッチの教科書を制作するためのアプリケーションで、作成した教科書はiBooks 2(無償)を使って読むことができる。今回、Appleが“ 教科書を再発明する” としてリリースしたアプリケーションだが、なぜ教科書の再発明なのかについて、まずアメリカの教育事情について理解しておきたい。
アメリカの教科書は一般的に大判でページ数も多く、ハードカバーなのでとても重い。さらに貸与制となっており、同じ教科書を何年も使いまわすため、生徒は必要な時以外、家に持ち帰るようなこともしない。つまり、自宅では教科書で勉強することができないわけだ。また、教師は教科書の内容を全て教えるのではなく、補助的な教材を用いながら、教科書の必要な部分を参照するような使い方で教えるのが一般的。こういった(日本とは異なる)アメリカの事情を理解すると、iBooksAuthorを“ 再発明” と呼ぶ意味が見えてくる。学生はiPad さえ持っていれば、重い教科書を家まで持って帰らなくても、いつでも好きな時に教科書で学習できるようになるわけだ。また、教師は授業で使用する資料をiBooksAuthor で作成すれば、簡単に生徒に配布でき、プリントする手間も省ける。
日本では教育事情が異なるため、アメリカのような使い方とはならないと思われるが、iBooks Authorでは教科書しか作成できないわけではない。論文やプレゼン資料、カタログ、ポートフォリオ等、様々な用途での使用が考えられるのだ。何より無償で配布されているため、誰でも手軽に利用できるメリットは大きい。ぜひ一度、試してみてほしい。
iBooks Author での制作
iBooks Authorの最大のメリットは無料ということだろう。Mac(OS X10.7.2以上)さえ持っていれば、誰でも自由にダウンロードして使うことができる。無料というインパクトは非常に大きい。高価なアプリケーションを購入しなくても、デジタルブックが作れてしまうのだから……。分かりやすいインターフェイスもAppleならではだ。マニュアルを見なくても、なんとなく操作ができてしまうのがApple製品の良いところだろう。Keynote やPages を使っていた人なら、全く違和感なく作業できるはずだ。
そもそもこのアプリケーションは、学校の先生でもWord 感覚で手軽に制作できることを念頭に開発されている。プロの制作者が高度なアプリケーションを使いこなさないと制作できないようなツールではない。それではチープなものしか作れないかというと、そうではない。簡単な操作でかなりハイレベルなものも制作することができる。ムービーや3Dオブジェクトをはじめ、Keynote のプレゼンテーションやHTMLファイルを埋め込むこともできる。Appleのサイト等を確認してもらえば分かるが、驚くほどハイレベルなデジタルブックを作成することもできる。また、テンプレートも用意されており、初めての人でも戸惑うことなく作業をスタートできるように設計されているのもありがたい。そして、でき上がったドキュメントは、iPad のiBooks で読むことのできるibooks 形式やPDF、テキスト形式に書き出すことができる。 (JAGAT info 2012年4月号より 一部掲載)