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印刷界OUTLOOK 2012 【出版】
出版物販売額7年連続減少、書籍は下げ止まり
出版科学研究所の調査発表によると、2011年の書籍・雑誌の推定販売金額は前年比3.8%減の1兆8042億円と、7年連続の減少だった。
書籍の推定販売部数は5年連続で前年割れとなったが、0.3%減の7億13万冊、推定販売金額は0.2%減の8198億円と、実質的には下げ止まった。
2010年に5点だったミリオンセラーは10点まで増え(『謎解きはディナーのあとで』、『心を整える。』など)、『もしドラ』は2年連続のミリオンを達成した。また、文庫本でも映像化が決まった作品(『八日目の蝉』など)が短期間で売り上げを伸ばし、書籍販売全体を牽引した。
書籍の新刊点数は7万5810点と前年比1.5%増だったが、取次の送品適正化などを背景に出版社が新刊刊行を手控える傾向は依然として強い。書籍の平均単価は、ベストセラーの牽引で9年振りに上昇し1118円(前年比0.7%増)となったが、新刊平均価格は読者の廉価本指向の影響を受け、前年比1.5%減と4年連続で下落した。返品率は37.6%と、2010年に比べ1.4ポイントの低下とさらに改善が進んでいる。
雑誌販売金額が1兆円の大台割れ、マイナス幅は過去最大
2011年の雑誌の推定販売部数は8.4%減の19億8970万冊と35年振りに20億冊を割り込み、推定販売金額も過去最大の落ち込み幅となる6.6%減の9844億円と、1兆円の大台を割り込んだ。部数の内訳は、月刊誌8.3%減の13億3962万冊、週刊誌8.6%減の6億5008万冊と、月刊誌に比べて週刊誌の落ち込み幅が大きい。雑誌全体の販売部数は2001年と比較すると39.5%減少している。
金額の内訳は月刊誌が6.2%減の7729億円、週刊誌は7.8%減の2115億円、雑誌の広告収入は激減した2010年からさらに5.4%減となった。価格改定により広告収入への依存度を下げようとする動きが強まっている。
雑誌の創復刊点数は、119点と過去40年間で最も少なかった2010年と比較すると多少回復したが、依然として低い水準だ。休廃刊点数は158点(58点減)とこちらも2010年と比較して回復したが、休刊点数が創刊点数を上回る状況が続いている。総発行銘柄数は3376点(前年比2.2%減)と、2007年以降5年連続の減少だった。
2010年までは堅調だった付録企画も売れ行きが鈍り、雑誌にとって厳しい状況が続いている。
(研究調査部 小林織恵)